成田離婚【なりたりこん】という言葉がある。新婚旅行に行って成田に帰ってきたらもう離婚したくなっているということを表す言葉である。最近離婚自体が多くなったせいかあまり大きく取り上げられることもなくなった。考えてみれば、すぐに間違いに気づいたのだから問題の根が深くなるよりよほど幸運であるとも取れる。
海外旅行は、不案内な土地、言葉が通じない、親しい友人から離れているなど、精神的に不安定になりやすい状況である。そんな中で結婚相手の頼りない姿を見てしまったり、限られた時間の中でお互い自分のやりたいことを主張したりして相手に失望し、帰ってくるというのは想像に難くない。
しかし、成田で離婚するカップルはたとえ海外旅行でトラブルがなくて、その場で離婚に至らなくてもいずれ破綻するだろう。というのは、海外旅行という非日常で本来楽しいはずの状況で相手に失望するということは既に本質的な問題を抱えているといえるからだ。
感情面で強い絆がある夫婦は、二人きりでいるときに安心感を持てるもの。それがないということは感情面でのつながりが弱く、ちょっとしたことで諍いにつながり、関係が壊れやすいということだ。結婚というのは自分の人生だけでなく、相手の人生にも責任を負う(お互いに)ということである。それが出来ない、言い換えると子供のままで結婚したことが成田離婚に至る大きな理由ではないかと思う。
(少しだけ、自分の実体験に基づいて書きました)