よく、幸せになるためには「自分のやりたいことをやる」「自分の好きなことをする」という言い方を目にします。確かにそれは大事なことなんです。ただ、やりたいことをしても幸せに向かえない状態の人もいます。
あなたは、次の例をお読みになっても、「やりたいことをやる」と「幸せになれる」と言えるでしょうか?
・浮気性の男が「やりたいことをやる」と二股三股はあたりまえの浮気をする。
・重要なプロジェクトを成功させるために一生懸命頑張っていたが、最近気力がなく、朝起きれない。
・彼氏はアルコール依存のダメンズだが、私なら更生させられると信じて一生懸命お世話をしている。
・彼氏はモテる人で浮気は仕方ないが、時々「お前だけだよ」と言ってくれる言葉を信じている。
・ビールで晩酌が好き。最近量が増えていて、肝臓の数値も悪いが、これだけはやめられない。
・峠道を攻める時だけ生きている感じがする。いつか事故って死ぬ気がするが、その時はその時。
・パチンコで勝ったときだけ生きている感じがする。先月は大負けしたが今月は絶対取り返す。
・風俗が趣味。先月はゆうなちゃんに会うため借金した。でも、これだけが生き甲斐なので・・・
・買い物が大好き。買い物しているときだけ自分が自分らしく感じる。いつも借金しているけど・・・
読んでいると「他人に迷惑をかける行為はダメ」「健康を害するのはダメ」「命を大切にしなければダメ」みたいな、「正しさで相手の行動を縛る」言葉が浮かんできたりしませんか?私たちはこうやって道徳や社会規範みたいなもので自分の行動を縛って生きています。そしてそれを他人にもついつい押しつけようとしてしまいます。
実はこれらの例は、「依存症」と言える症状の解説をしたものです。
順番に「回避依存」「仕事依存→うつ」「共依存」「恋愛依存(共依存)」「アルコール依存」
「危険行為依存」「ギャンブル依存」「セックス(風俗)依存」「買い物依存」です。
本人もダメなことは頭では十分に分かっているのです。でも、それ以上に自分ではコントロールできない衝動のようなものに支配されて苦しみながら今の行動を続けているわけです。あるいは、既に苦しい感情を心の深いところに封印してしまって、意識的には分からなくなっているかもしれません。
だから「分かってはいるけれど、苦しくてどうしてもその行動に出てしまう」という人に道徳を説いても「頭では分かるけれど、心や体がついてこない」から受け入れられないんです。
私は心理学的見地からこのコラムを書いていますから、道徳的に正しいとか間違っているとか、そういう観点の議論をするつもりはありません。あくまで本人が幸せになれるかどうかという観点で考えています。
ではここから本題に入ります。
心理学的な知識を身につけ、カウンセリングを提供する経験を積んでいくにつれ、「やりたいこと」には2種類あるのではないかと考えるようになりました。
ひとつは、純粋にやりたいこと、楽しいこと。
テニスが好き。ゴルフが好き。お寿司が好き。恋愛で誰それが好き。ビールが好き。チョコレートが好き。今やっている仕事が好き。ドライブが好き。
もうひとつは、ネガティブな感情(闇)から逃げるために、光(刺激)を求める「好き」。
この場合、「好きなこと」をやってネガティブな感情から目をそらすのではなく、きちんとネガティブな感情と向き合う必要があります。ネガティブな感情から目をそらすために光を求めると、上で挙げたように極端な例では依存症になります。
・浮気性の男が「やりたいことをやる」と二股三股はあたりまえの浮気をする。
→「子供時代に母親にいつも「捨てるぞ」と脅され続けた心の痛み」があるかもしれません。
心理療法で子供時代の心を救うワークなどをして、「捨てられる恐怖」を癒すと共に、
現在も、自分自身を見捨て続けている自分の心を修正して、自分を大切にする心を育てる。
その結果、何人もの女性を「保険」にしなくても安心が得られるように心がしっかりする。
・重要なプロジェクトを成功させるために一生懸命頑張っていたが、最近気力がなく、朝起きれない。
→仕事で認められないと自分の存在価値を感じられない「自己肯定感の欠如」が問題かもしれない。
自分自身の感情を開き、楽しいことをしたい、休みたいなどのニーズを大切にして生きられるよう、
考え方や物事の捉え方を変化させていく。
・彼氏はアルコール依存のダメンズだが、私なら更生させられると信じて一生懸命お世話をしている。
→お世話をしている自分には価値があるが、そのままの自分には価値がないという気持ちを持って
いる場合が多いです。
自分には愛される価値がある、ということを心理療法を使ったり、アファメーションをして繰り返し
自分の心に教えてゆく。次第に心が落ち着いてきて、問題を抱えた人にばかり引き込まれる
状態を脱出することができる。
・彼氏はモテる人で浮気は仕方ないが、時々「お前だけだよ」と言ってくれる言葉を信じている。
→子供時代に「父親に捨てられそう」だと感じる状況の中で生きてきた可能性があります。
自分には愛される価値があるということを、自分の心に繰り返し教えてゆく。子供時代の出来事
の中に捕らわれたままになっている心を救い出す心理療法のワークなどをして心の痛みを癒す。
その中で実は自分も親密さを怖れていたことに気づけば、あなたを大切にしてくれる人と幸せな
パートナーになれる道が開けます。
・ビールで晩酌が好き。最近量が増えていて、肝臓の数値も悪いが、これだけはやめられない。
→どんな心の痛みがあるのか、きちんと自分自身と向き合うことが必要です。心の痛みをしっかり
と感じきって癒せば、痛みから目をそらすための、ごまかしのアルコールは不要になります。
・峠道を攻める時だけ生きている感じがする。いつか事故って死ぬ気がするが、その時はその時。
→これも、どんな心の痛みがあるのか、きちんと自分自身と向き合うことが必要です。感情を抑え
込んで、心が麻痺したようになっていると、危険な行為をしたときのゾクゾク感を感じたときだけ
生きている感じがしたりするものですが、それは依存症だということに気づいて下さい。
抑え込んだ感情を、勇気を出して人に聞いてもらうなどして吐き出すことで、穏やかな心を取り
戻すことができます。
・パチンコで勝ったときだけ生きている感じがする。先月は大負けしたが今月は絶対取り返す。
→これも同じです。ギャンブルで買ったときの高揚感を感じたときだけ生きている感じがするとし
たら、立派な依存症です。きちんと自分の抱え込んでいる辛い感情を開いて感じきることが、
乗り越えるための大切なステップになります。共感的に話を聞いてくれる人を確保してこの
プロセスを進めるべきです。セラピストを頼るのもよい選択です。
・風俗が趣味。先月はゆうなちゃんに会うため借金した。でも、これだけが生き甲斐なので・・・
→冷静に考えれば、風俗につぎ込むお金があれば、ものすごくたくさんのデートができるわけで、
苦しい感情を抑え込んで依存症的になっている部分と、女性から相手にされないかもという
自信のなさと、両方を抱えているのかもしれません。
女性のセラピストに辛い感情を聴いてもらうと楽になるかもしれません。同時に、小さな事を
達成し、それを喜ぶ(自分をほめる)というプロセスを繰り返すことで男性としての自信もついて
いきます(すぐ自分を否定したり酷評するクセがないですか?)。
・買い物が大好き。買い物しているときだけ自分が自分らしく感じる。いつも借金しているけど・・・
→買い物依存は、買い物をしているときだけちやほやしてもらえるという感覚から陥ることの多い
依存症です。抱え込んでいる辛い感情をただ聴いてもらうことだけでも、ずいぶん楽になると思
います。同時に、自分で自分を愛することを学んでいく必要があります(自分のことを嫌ったり
粗末に扱うクセがないですか?)。
今感じる「やりたいこと」の中には、幸せにつながる「心から好きなこと」と、依存症を悪化させてゆく「自分自身から目をそらすための逃げ」とがあります。
ぜひ、勇気を出して自分自身と向き合うことを選択してほしいと思います。辛い感情を癒しきったあとには、穏やかな気持ちの毎日が待っています。辛さを紛らわすための強い刺激はもういらないのです。
あなたの人生に安心と自信と自由がありますように☆
恋愛セラピスト あづまでした。
ネガティブな感情(闇)から逃げるために、光(刺激)を求める「好き」という部分を読んで、ドキッとしました。私は、結婚9年目に入り子供はいなく、離婚をしようか2年近く悩んでいます。始まりは、自分というアイデンティティーを出すために以前から興味があった客室乗務員として働きはじめました。しかし、この事で夫婦仲が悪くなり、終いには他に気になる人が出来きてしまいました。夫は私と四六時中一緒にいたいといい、仕事を辞めるか離婚するかという決断を迫られ、2度、分かれる方向で家を飛び出ししました。でも、結局、夫との楽しかった日々を思い出しては悲しくなり、離婚に対するネガティブなイメージ、離婚による自分へのネガティブなイメージ、一生1人で働いていく事の不安、女の33歳とうプレッシャー(子供をもって家庭を気づいて行きたいという気もち)から離婚に踏み切れずにいます。そして、私は彼を嫌いになる事は出来ないくらい私は彼に精神的に依存しています。私も彼も互いに依存しあって生きているのですが、互いの主張がぶつかりあい、喧嘩ばかりしています。彼は私が仕事を続ける事は許せないと言っています。この事が私は、私という人間を認めてもらえない事に苛立ちを感じ、彼に男性として人間としての魅力を感じなくなっている事は事実です。しかし、心が彼に依存しているため、先に進むことが出来なのです。何が自分にとっていいのかさえも分からなく辛いです。アドバイスをお願いします。
さくらんぼさん
コメントありがとうございました。
苦しい心の叫び、伝わってきました。
さくらんぼさんの心の中の、今まで見ないふりしてきた部分に目を向けることが解決の糸口になると思います(どんな部分かはこのコメントだけでは分かりません。カウンセリングなどを受けて、自分の気持ちを話していくと出てくることが多いですよ)。
気になったポイントとして、
>客室乗務員として働きはじめました。
このこと自体はいいですよね。仕事を持つって大事なことです。動機が気になります。「私もあなた(ご主人さん)もより幸せになります」という気持ちで仕事を始められたでしょうか?それとも自分だけ安全地帯を確保したかった?
>離婚に対するネガティブなイメージ、
離婚は確かに辛いものです。但し、人生で一番辛いことは、「愛せない」ということではないでしょうか。愛情を注げる相手がそばにいないことほど辛いことはありません。外面より心を大事にしたらそう思いませんか?
>私という人間を認めてもらえない事
これは、辛いですね。
仕事をしても、やめても、これって変わらないのでは?
相手を変えることは、失敗する戦略ですから、さくらんぼさんは今のご主人さんをどう愛せるかを考えるしかありません。
話を否定せずに聞いてあげる。
小さな事でいいからほめ続ける(半年ぐらい)。
「あなたのそばにいますよ」と伝え続ける。
一般論ですが、離婚できないのは、愛情を注ぎきっていないから、ということが多いです。
愛情の出し惜しみをせず、やれるだけやったら、大抵心はスッキリします。
うまく行く方向になるか、あきらめて離婚するか、どちらにしても!
応援しています。
では!