なつをの夏の物語(17)|恋愛ドクターの遺産第10話

第六幕 最後は勇気

ドクターとなつをのセッションは続いている。(2年前のセッションの話は終わり、現在のセッション。といってももちろんノートの中の「現在」だ)
「そういえば、彼のお名前を伺っていませんでした。差し支えなければ。」ドクターが改まった調子で聞いた。
「はい。彼はユウジ、と言います。悠々の悠に、仁という字を書いて、悠仁。」
「なるほど。悠仁さんね。お名前の印象は、穏やかそうな感じですね。」
「あ、はい。実際穏やかな人だと思います。」
「いかにも、進展しなそうな感じですね。」少し苦笑しながら、ドクターが言った。
「あの・・・そうなんですか?」なつをは心配そうだ。
「先生!そんな直球! ごめんなさいねなつをさん。」慌てて湯水ちゃんがフォローした。
「いえ・・・いいんです。実際そう感じていましたから。」なつをは淡々と受け止めた。
一般的に、周りが勝手に心配することは多いものだが、当事者は覚悟が決まっていて落ち着いている、ということはよくあるものだ。なつをは、以前もドクターの元におとずれ、相談をした経験があることもあってか、多少のことでは動じない落ち着きを持っている。

「それで、なつをさん。彼とは例えば、中華料理屋さんに行っても、お互いに出方をうかがい合ってしまって注文を決めるのにも時間がかかる、そんな関係、そんな状態なのでしたね?」
「はい。本当に、気を遣い合ったり、出方をうかがい合ってしまって、なかなか決められないんですよね。」
「頑張りましょう。」
「へっ?」
ドクターの言葉に、なつをは変な声を上げてしまった。大体、何を意図して言った言葉なのか分からない。
「先生、ちゃんと説明してあげましょうよ。私も分からないですから。」湯水ちゃんが割って入った。
「あ、すみません。つい先走って結論だけ言ってしまうことがあるもので・・・今から説明しますね。」ドクターは苦笑しながらそう言った。
「お願いします。」
「あの、以前に来て下さったときは、トラウマを扱ったり、色々深い部分のテーマを解決する部分をメインにしましたよね?」
「はい。そうでした。」
「それで、今のなつをさんの印象を言うと、そういう深い部分の癒しは、大体終わっているのではないか、ということなんです。」
「そうなんですか?」
「ええ。それでも、恥ずかしいとか、色々な感情があって、彼に対して積極的になりきれていない。」
「・・・はい。そうです。」
「まあそれは、ようやく、そういう段階まで来た、ということだと考えています。」
「ようやくそういう段階・・・ですか?」
「ええ。」ここでドクターはホワイトボードの前に移動して、板書しながら説明を始めた。「トラウマがあると、そこに関係した心の部分というのは、成長が止まってしまいます。しかし、成長が止まったかどうかは、あまり意識されません。なぜなら、成長云々よりも、トラウマ反応・・・たとえば男性が怖いとか、緊張感を感じるとか、そういう強い反応・・・の方をより強く自覚することになるからです。以前のなつをさんはそういう状態でした。」
「そうだったと思います。」
「トラウマが解消すると、では、問題は全て解決するか、というと、実はトラウマを受けた時点からの成長が遅れていたりするので、成長を追いつかせる、という別のテーマが残るわけです。」
「・・・なるほど。怪我が治ったあと、体の動きを取り戻すためのリハビリが必要、みたいなことですか?」
「まあそんな風に考えても、大体良いと思います。そして、恋愛の場合、結構大事なポイントがあって、幼少期の安全の欲求や、所属の欲求が十分に満たされて、子供としての愛を十分受け取ったと感じて初めて、大人の恋愛・・・つまり性的な関係も含めた男女関係を受け入れられるようになるのです。」
「あ、なるほど、そうなんですね。とても納得です。」

(つづく)

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