浮気性、浮気症 【うわきしょう】

 

浮気性、浮気症 【うわきしょう】
 
 浮気性とは、浮気を繰り返してしまう性格のこと。妻の妊娠、出産や、夫婦の感情的な行き詰まり(デッドゾーン)のときに、突破口が見いだせず逃げるように浮気してしまう一過性のものではなく、妻の側の努力にかかわらず、浮気を常にしてしまう傾向を持つ男性が、浮気性の典型である。浮気が一過性のものか、浮気性であるかの見分け方は、繰り返しているかどうかである。
 浮気性は一種の依存症である。恋愛依存症のカテゴリーのひとつ「回避依存症」と考えられる。その意味では「浮気症」という言葉もあながち間違いではない。
 
 本人の中では、自分がいつか捨てられるのではないかという不安が非常に強いため、意志の力で行動だけを直そうとするのは難しい。骨折している人にまっすぐ歩けと言うようなものである。周りにも多大な迷惑をかけるし、人を傷つける厄介な症状ではあるが、根本的には浮気性の人の心の中にある寂しさや見捨てられる不安を癒すことこそが本当の解決である。
 浮気性の人は子供時代に母親に十分受け入れられたという経験が足りないことが多い。母親の支配や虐待を受けた場合もあり、女性に対する怒りや復讐心、そしてその裏にある恐怖の感情を抱えていることもある。心理療法などを活用し、過去の満たされなかった想いや感情的なわだかまりを解消してゆくことが大切である。
 
 ここまで浮気性の人に共感的な解説の書き方をしてきたが、これは決して浮気を容認すべき、という意味ではない。責めても仕方がないし、怒ったり脅したりして行動を改めさせようとしてもまずうまく行かないということを理解して欲しい。そして、浮気夫の問題解決を浮気されて傷ついた妻が一人で行うことは、あまりに荷が重いということに気づいて欲しい。
 解決のためには、アルコール依存症の克服には断酒が必要なように、回避依存症という、恋愛関係に依存する依存症の克服には一度一人になることが必要である。実は、浮気された側にも「別れて一人になったら私も怖くて辛い」という心理があることが多く、これも問題解決の障害になる。浮気された側も、自分の心の中にある寂しさや見捨てられる不安に直面する勇気が必要である。
 このようにして解決に向かおうとする際に、友人やカウンセラーなど、恋愛ではない人間関係のサポートがあることは、本人が孤独に陥って絶望しないための助けになる。
 
 なお、読者を巻き込んで大議論に発展した「浮気男の心理」も合わせてご覧下さい。