なかなか恋愛が発展しない、なかなか結婚相手が見つからない、こんな悩みを持っている方の中には、相手に対する条件が多い、というケースがあります。
これは、本人が自覚的に色々条件をつけているケースと、無自覚に条件をつけているケースがありますが、無自覚な方が(自分で気づいていないので)解決までのステップがひとつ多いことになることを除けば、本質的には両方とも同じ問題です。
・年収○百万円以上
・タバコは吸わない
・ギャンブルはしない
・お酒は楽しく飲めるが、深酒はしない
・私がやっている趣味○○を理解してくれる
・私が仕事を続けていくことを理解してくれる
・よく話を聴いてくれる
・愚痴をこぼさない
・怒ったり荒れたりしない
・・・etc...
さて、ある程度の年齢にもなると、妥協はしない、なんて考えたくもなるもの。結婚に対して真剣になればなるほど、目標を高く持って努力しようなんて考えたくなりますね。
ここで、驚きの事実をお伝えします。
自分の能力、自分の努力に関する目標については、高いほどよい、という考え方には一理あります。確かに、高い目標を掲げて努力した方が、自分が磨かれますので。
しかし、結婚相手に対する条件に関して言うと、色々条件がつくほど、実は「自分の対応力に自信がない」と言っているのと同じなのです。
分かりやすい例で言うと、相手の収入に関する条件がつくのは、自分が稼げる自信がない人です。あるいは、周りの目を気にする場合、つまり、自分が素のままで受け入れられるという自信がない人です。また、共通の趣味とか価値観が一緒という条件がつくのは、自分と相手との違いを埋めるコミュニケーション力に対する自信がないからです。
もちろん、つき合いやすい相手、つき合いにくい相手は必ずいますし、相手に対して何の条件もつけず、全部自分が背負うと考えるのもまた、無理なのです。だから、自信がないことがいけないと言っているのではありません。
ですが、本当は自分に自信がないのに、本当の問題は伏せておいて、相手に条件をつけることでその問題に永久にフタをしようと努力するのは、幸せに向かう努力とは言えません。
自分の心と向き合わずに進んでいたら、どこかに歪みが出るものです。
結婚したけれど、こんなはずじゃなかった、とか、
条件に合う人と結婚したけれど、不幸にはならなかったが幸せにもならなかった、とか。
あるいは、冒頭で書いたように、条件がつきすぎて、結婚に踏み切れなくなってしまったり。
相手に対する条件というのは、喜びを感じて幸せになるためのものではない、ということを知っておく必要があります。条件は、不幸にならないためのもの、なのです。
一方、喜びを感じる要素は、いわゆる条件ではありません。お互いに相手のことを大切に思い合っているかどうか(感情的結びつき)、相手のことを尊敬し合っているか(精神的結びつき)、相手に対して欲情することができるか(身体的結びつき)、これらをどれだけ持っているかです。
相手に対する条件が多い人は、
喜びを得たい、という、快楽に向かう気持ちよりも、
嫌な思いをしたくない、という、苦痛から逃げる気持ちの方が強いのだと思います。
そのような、怖れが強い状態のまま進むと、良くて、「不幸でないけれど、喜びもそれほどない」というカップルの未来が待っています。
傷ついても自分で立ち上がれる心の強さを身につけてゆくことで、相手に対する不要な条件を外し、本当に幸せになるための相手を感じ取ることのできる、本来の、繊細な心を取りもどしていきましょう。
相手に対する条件は男性の方もあるでしょう?
今の世の中、結婚すれば大体が男性名字になるし
家庭を持ち子供でも居れば同じ仕事を持っていたとしても同じ給料でも何故か男性優先です。
そんな男性優先?気味の世の中で女性がある程度相手に条件を出すのは当然だと思います。
女性が「対応力に自信がない」のは当たり前です。
結婚すれば今までと違った環境の中で(あくまでも)傾向的に男性中心の生活になるわけですから。
男性の方も条件を越える何か(例えば抽象的な言い方をすれば安心感)を女性に与える努力をすべきではありませんか?
名なしさん
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、現在の日本は、女性が安心して妊娠・出産・子育てをして、かつ、自分らしい生き方が出来る社会になっていないと思います。
女性の悩み相談をたくさん受けるようになってから私もハッキリ気づいたのですが、正直、これは不公平な部分だと思います。
そこは、変えていかなければならないところですよね。
それを大前提として、考えてみてください。
・社会を変える活動をする(次の世代のために自分が捨て石になる)
・社会が変わるのを待つ
・今の社会の状況を前提として、自分が幸せになる道を見つける
どれも、間違いではありません。
しかし、これを言うのは心苦しいのですが、現実問題、女性が30代中頃になると、出会いの頻度が極端に減り、出会える男性の(女性目線から見た)質も落ちます。
社会に問題があったり、男性側に女性の感じている閉塞感が理解されていないことも問題だと思いますが、
その結果として、結婚しない人生になったとして、それで幸せなのでしょうか?
心から、「自分は一人で生きる人生が幸せ」と言える人は、ぜひその信念を貫いていただきたいと思います。
でも、あきらめから、一人でいることを選んでしまった場合、自分が幸せでないですから、他人の幸せを願うことが難しくなり、周りに怒りをまき散らしたりすることだってあります。
だったら、
・社会は変えられなくても、旦那さんには今の状況を分かってもらうよう、ちゃんと話をする
・会社にも、きちんと交渉して、必要な子育てサポートを得る
・そういった自己主張をしても「あなたには会社にいてほしい」と言ってもらえるように、仕事のスキルはしっかり高める。
そうやって、対応力を磨いた方が、よほど建設的だと思います。
なお、このコラムは、
「相手に対する条件が高い方が、格が高い」と勘違いしている女性の方に対して、
一度客観的にその考えでよいのか考えてもらうために書きました。
自分の生き方に対する答えは自分で出すもので、私がどうこう言うべきものではないのですが、
その考えのまま5年、10年と経ってしまい、女性としてのタイムリミットが迫って来てから焦るというパターンが実際にあるので、老婆心ながら「それでいいの?」と問いかけているのです。
なお、名なしの方へ
その問題意識を、誰に、どういう言葉で伝えたら、自分の望む人生に向けて前進できるのか、よく考えてみてください。まさか、これから交際する相手に、ここにコメントされたような「べき」という表現が多い言い方で思いをぶつけたら、きっと相手は去っていってしまいますよね。
こういうことを考えるのが「対応力」ということなのです。
↑うーん、そうでしょうか?
「べき」と断言して去る男ならそれはそれで仕方ないのでは。
私は結婚20年で山も谷もありましたが、旦那がそんなことで怒ったり去ったりしたことはありません。
常に空気を読みながらの範囲で言いたいことを言い、嫌な時は言い方が嫌だから気をつけるようにお互い言って今も仲良し夫婦です。夫婦とは不思議なもので、たかが「べき」といったくらいで風が吹いたりしませんよ。また、収入に関する条件を言うのは女性なら100%あるはずです。それがわからない男性は珍しいと私は思います。どうもこのコラムは男性の上から目線臭ぷんぷんで、女性が「べき」と言うのも許せない気弱な男性像が浮かびます。間違っていたらすみません。…でも私がコラムを読んで受けた印象はそうでした
↑の名なしの方へ。
なるほど。
既に20年も結婚生活を続けていらっしゃるのでしたら(それはすごいことです)、あなたのやり方で今後も続けていかれるのが良いと思いますよ。
(文面の雰囲気から、勝手に、これから婚活をされる方なのかと思ってしまいました。失礼しました。)
>常に空気を読みながらの範囲で言いたいことを言い、嫌な時は言い方が嫌だから気をつけるようにお互い言って今も仲良し夫婦です。
こういう対応力があるからこそ、続けてこられたのでしょうね。
私はこのコラムで、たとえば、あなたのような対応力を磨かないで、「言わない」「言えない」だから「言わなくても分かってくれる人じゃないといや」といった条件をつけてしまう人に、いや、そうじゃなくて、あなたのコミュニケーション能力を磨くこと(=対応力をつけること)が大事でしょ、と伝えたかったのです。
>収入に関する条件を言うのは女性なら100%あるはずです。
これも、その通りだと思います。
自分の責任で、ちゃんと条件を言えれば、それはOKなんです。
・・・ここまで書いてみて、思いました。
自分の中に持っている「条件」を、自分の責任で相手に言うことができる人は、きっとOKなのですね。
無意識に、理想のパートナーにたくさん条件をつけていたりする(けれど、人に言うときは「優しい人」としか言わない)人ほど、このコラムのパターンにはまるのかもしれません。
次に同じテーマのコラムを書くときは、「自分の中に条件があるなら、ちゃんと表現しよう」、という方向で書きたいと思います。
ちなみに、このコラムを書いた背景ですが・・・
典型的には、アダルトチルドレンと言われる、愛情不足で育った方によくある症状なのですが、現実的でない条件を相手に求めて、うまく行くはずのない恋愛をしたり、ちょっとでもその「条件」に合わないと身を引いて逃げてしまい、ずっと彼氏ができない状態になったりすることがあります。
たとえば、こんな願望を持っていることがあります。
・私と一心同体で、私と同じ考えをしていている人でないとダメ(二人の違いを認め、話し合うことができないから)
・何でも一緒で、常に行動を共にできる人でないとダメ(孤独感に対応できないから)
・私のことを決して批判しない人でないとダメ(批判に対応し、きちんと話し合えないから)
・(極端に「主張する人」を怖れて)優しい人(=実は気弱な人)を選ぶ(自分の主張ができないから)
・私の願望をいつも察して行動し、私を失望させない人でないとダメ(自己主張ができないから)
そのような方の場合、やはり、男性側の努力だけではどうにもならないと、私は思うのです。本人が、自覚して、自分の対応力を上げることをしていかないと、パートナーシップを維持していけないと思います。
他にも、私が実際に聞いたことのある条件は色々あります。
・長男はダメ(実は親から言われたのを鵜呑み)
・公務員じゃないとダメ(実は親から言われたのを鵜呑み)
・旦那に仕事と、かつ家事のほとんどをやってほしい(自分は専業主婦)
確かに、相手の親に依存されたら困るとか、収入の安定が大事とか、分からなくはないのですが、こういった条件を「絶対条件」のように持ち、結婚が遠のいてしまっている女性の方が、実際にいらっしゃいます。私が相談を受けるのは、こういう「縛り」から抜け出しつつある段階の人ですが。
あなたは、20年も結婚生活を維持していらっしゃるのですから、堂々としていらしてください。私自身も結婚生活は4年ですので、20年続けられたことは、純粋に尊敬します。
でも、一方で、あなたとはとてもかけ離れた心の状態、対応力のレベル、コミュニケーション能力の女性の方も、実際にいらっしゃることをご理解下さい。その方々は、やはり、自分が無自覚に条件をつけすぎて結婚が遠のいていることを、きちんと自覚することが必要だと、私は思います。
この一連の議論で、私もいろいろ気づくことがありました。
コメントを書いて下さって、ありがとうございました。