視野が狭いと夫婦は仲間割れする

 

夫婦関係を良好に保つ上で最も大切なこと。
 
色々な表現方法がありますが、私は、
 
「仲間割れをしないこと」
 
と表現するのが一番よいと考えています。
 
 
生きていく上で、色々な困難やストレスがあるのは、当然のことです。
潤沢なお金がなければ、お金を稼ぐために、貴重な時間を使って仕事をする必要があるでしょう。
子供が生まれたら、子供の世話に大変な時間と労力がかかります。
老親の介護という負担が加わる場合もあるでしょう。
仕事面でも、会社の経営状態が悪くなったり、やりたい仕事に就けない、上司の人間性に問題がある、など、様々な困難にぶつかることがあるでしょう。
 
 
そうして、辛い状況があり、辛い気持ちを抱えがちになったときに、
私たちはつい、身近な人、頼みやすい人にだけ、助けを求めてしまいがちです。
 
 
「夫が育児に協力的でない」
「夫が家事をしてくれない」
 
「妻が自分の仕事を応援してくれない」
「妻が自分の出世の足を引っ張る」
 
 
もちろん、助けを求めてはいけない、というのではありません。
助けはどんどん求めましょう。一人で抱えるより、よっぽどマシです。
 
但し、もしも、助けてもらえなかったときに、相手を責める気持ちになっているとしたら、ちょっと待って。
「視野の狭い助けの求め方」をしていないかどうか、セルフチェックしてみましょう。
 
先ほど書いたように、生きていく上では、様々な困難やストレスに対処して、立ち向かって行かなくてはなりません。子育て期の夫婦などは本当に色々な負担があります。
社会の、子育て夫婦に対する支援も薄かったり、女性が自分らしく仕事することに対する支援が薄かったりと、社会の問題も色々あります。
しかも、子育てをする父親がもてはやされている風潮がありますが(それ自体はいいことですが)、休暇も取れて、給料がいい会社に就職できた「勝ち組」だからこそ、そのような「いい夫」をやっていられるという側面もあるのです。
 
 
そういった状況を、広い視点で見たときに、たとえば「夫が育児に協力的でない」という問題を取っても、「長時間労働・ストレスの多い職場」で、育児に時間と愛情を割くゆとりがないことが大もとの原因の場合、夫に要求するだけでは、根本的な問題の解決にはならないのです。
 
かといって、我慢するという選択肢は長い目で見ると建設的とは言えません。
 
まず、夫婦が、今抱えている問題意識を共有することが大事です。
 
具体的な会話の例を挙げて、
1.問題意識を共有すること
2.相手を責めること
3.我慢すること
の違いを説明します。
 
例として、
夫:会社員。長時間労働のため、家族のために時間を使えないでいる。
妻:育児のために退職したが、復帰のために資格取得を目指している
子供は兄(6)、妹(3)。
という状況を想定しています。
 
 
1.問題意識を共有する
 
「ねえYくん。今ね、○子(娘)の世話で時間が取られて、仕事に復帰するための勉強ができないのね、
 水曜と、土曜の夜とか、子供の世話をお願いできないかなぁ・・・」
「う?ん。そうか・・・。実は、会社のプロジェクトで今とても忙しくて、
 土曜の夜もいつも調べ物をしてるだろう? 水曜日も、なかなか帰れない状況なんだよ・・・」
 
「そうね。いつも頑張ってるもんね。
 でも、夫婦の時間とか、子供たちと過ごす時間とか、とれるように、長期計画でとり組まない?」
「そうだな・・・今すぐは難しいけど、確かに子どもたちと過ごせる時間は貴重だからなぁ・・・
 仕事のやり方とか、人間関係とか、根本的に見直さないと難しいと思うけど、
 とにかく時間を作れる方向で努力を続けてみるよ。
 
 ただ、今の収入があるのは、今の働き方だからなんだよ。これを変えると、収入が減ることも
 あるだろうし、もしかすると、家族との時間を増やそうと思ったら、この会社にいるのは難しい
 かもしれない・・・ 転職するとか、独立する道を選ぶことになると、時間は作りやすくなるけど、
 収入が不安定になったりするかもしれない・・・協力してもらうことも色々あると思うよ。」
 
 

「問題意識を共有する」というのは、家族として向かう方向を確認すること。
そして、現状維持の中では、問題の解決策がないことも多いもの。
大きな決断をして、根本的に物事を変える必要が出てくる場合も多いのです。
「時間を作る」のも、「今の会社の中で無理」なら「会社をやめる」という広い視点も持ち、
長期計画でとり組むことが大事です。
夫婦で、一丸となって、家族の幸せのために努力するという姿勢の確認が、
「問題意識を共有する」という行動の中に現れています。
 
 
2.相手を責める
 
「ねえYくん。今ね、○子(娘)の世話で時間が取られて、仕事に復帰するための勉強ができないのね、
 水曜と、土曜の夜とか、子供の世話をお願いできないかなぁ・・・」
「う?ん。そうか・・・。実は、会社のプロジェクトで今とても忙しくて、
 土曜の夜もいつも調べ物をしてるだろう? 水曜日も、なかなか帰れない状況なんだよ・・・」
 
「あなたはそうやって、仕事ばかり。家族のことなんて考えてくれないのね!」
「うるさい!家族のために働いているのに、お前は自分のことばっかりだろ!」
 

完全に仲間割れしています。
相手の置かれている状況、現在家族が置かれている状況を客観的に見ることができていないので、
「あなたは私に何もしてくれない」
「あなたは私のことを分かってくれない」
という自分都合の解釈を、結婚相手にぶつけるだけになってしまっています。
 
夫婦間に問題があり、解決することも必要なのですが、
仲間割れしてしまっては、解決することは不可能です。
 
 
3.我慢する
 
「ねえYくん。今ね、○子(娘)の世話で時間が取られて、仕事に復帰するための勉強ができないのね、
 水曜と、土曜の夜とか、子供の世話をお願いできないかなぁ・・・」
「う?ん。そうか・・・。実は、会社のプロジェクトで今とても忙しくて、
 土曜の夜もいつも調べ物をしてるだろう? 水曜日も、なかなか帰れない状況なんだよ・・・」
 
「そうね。いつも頑張ってるもんね。
 ありがとうね。」
(はぁ・・・結局仕事仕事って・・・この人に期待するの、もうやめようかな・・・)
 

こういう対応をすると、表面的には「仲良く」すごせるのですが、夫に対する不満が蓄積し、
いつか「触られたくない」という形で表面化したり、限界を超えて爆発してケンカになったり、
「愛がない、冷めた(←実は呑み込んだ怒りがこういう感覚を作り出す)」と感じて離婚に至ったり
します。
問題を放置しているわけですから、いつか表面化してしまうのです。
 
 
 
夫婦関係を良好に保つためには、
「相手の状況も含め、問題を客観的に見る、視野の広さ」
「問題を放置しないという、建設的思考」
「相手を責めずに、現在の問題を表現する伝え方」
「辛い状況があっても、落ち着いて対処する忍耐力」
「どんなことがあっても仲間割れしない、相手を信頼する、という信じる力」
などの能力が求められます。
 
自分の辛い感情を自分で受け止められず、パニックになり、相手に責任を押しつけたり、
逆に、
建設的に解決することをあきらめて、相手と問題意識を共有することもあきらめて、
(つまり相手を信頼せず)自分だけが我慢する道を選んでしまったりすることは、
 
結果として問題を放置して、解決せずに放っておくことを意味します。
 
 
これでは、いつかその問題が「爆発」して、夫婦問題に深刻な亀裂を生みます。
 
夫婦が仲間割れせず、一丸となって社会や周囲の環境から受けている困難やストレスに対応していく。辛い状況に置かれているときほど、そのことが必要になります。


 

「視野が狭いと夫婦は仲間割れする」への2件のフィードバック

  1. あづま先生こんにちは。
     
    以前コメントさせて頂きました。
     
    私は現在、離婚経験者であり、5歳になる息子がいます。近いうちに再婚することになりました。幸い、彼と子供の関係が良好なので、彼にとても感謝しています。
    以前の私は、相手への感謝の気持ちが無かったと思います。それもあって、前夫の仲は、お互い相手を責める関係でした。今、考えると仲間割れだったんだと、あづま先生のコラムを読み更に、痛感しました。
     
    再び新たな家族を作りたいと願う反面、けんかになると外国人同士だから、うまくいかないのかなと、解決策をみつけることに時間がかかっていましたが、上記のコラムを読んで解決策はこれだと実感しました。
    早速、お互いの問題意識を共有しました。お互い考えてることも具体的に表れてきました。
    その結果、相手から感謝の言葉がかえってきたのです。外国人だから分からないのではなく、お互い一丸となって、困難やストレスに対応していく、夫婦の絆が大切だということを学びましたた。これからも問題意識の共有ができるように心がけたいと思います。
     
     
     
    これからも愛読したいと思います。ありがとうございました。

  2. 真由美さん
     
    コメントありがとうございます。
     
    問題意識を共有することの効果を実感されたのですね。
    嬉しいご報告ありがとうございます!!
    これからも、相手を責めず、かつ、問題意識にもフタをせず、二人で問題意識を共有しながら、ステキなカップルでいてくださいね!
    応援しています。

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