ケンカの一本道?喧嘩に至る道はワンパターン

 

家族問題研究家のジョン・ゴットマン博士によれば、
喧嘩に至る道は、ワンパターンしかない、とのこと。
 

喧嘩の一本道とは?

喧嘩の一本道とは、
批判 → 防衛 → 見下し
だという。
 
ワンパターンが分かっているなら、この流れに乗らないようにだけ気をつければよいのです。
 
喧嘩防止策は、大きく分けて、
 
・批判をしない
・批判されても、防衛をしない
・いかなる場合でも、見下しをしない
 
ということになります。
 

喧嘩防止策その1:批判の代わりに苦情を言う

喧嘩防止の第一歩は、批判をしないことです。
 
まず大前提として、「相手を批判しない」ことと「言いたいことを我慢する」ことは全く違うということを理解しておく必要があります。むしろ、言いたいことをずっと呑み込み続けると、我慢の限界に達したときに「今日こそ言わせてもらうけどね!(ものすごい構えた感じで・・・)」と、流したはずの過去のことまで言い出すという、悪い態度になってしまいます。
 
そうではなくて、批判の代わりに「苦情」を言うことが大事なのです。
批判:「あなたは冷たい」「あなたの言動はおかしい」「あなたはだらしない」など、基本的に主語が「あなた」になっているものです。
苦情:「あなたのその態度で、私は傷ついた」「あなたが部屋を散らかすから、私はうんざりした気持ちになっている」など、基本的に主語が「私」になっていて、かつ、できれば自分の「気持ち」を表現しているものです。
 

喧嘩防止策その2:批判を受けたときに防衛しない

次に、相手から批判を受けたときに、言い訳、防衛に走ると余計に事態を悪化させることを知っておく必要があります。
「おまえ、昨日もまた感情的になったじゃないか。いい加減、大人になれよ。」
と、彼から言われたとします。これは明らかに苦情ではなく、批判ですので、言い方が悪いです。でも、相手の言い方が悪いからと言って、こちらまで口が悪くなっては、同じ穴のムジナです。
 
さらに言うと、
「あなただって、感情的じゃないの。というか、その目がすごく冷たいよね。冷血動物みたい。」
なんて、批判に批判で返すのは、問題外です。そもそも相手の批判と何の関係もない言葉です。
 
防衛というのは、こういうことです。
「そんなことないよ。冷静に対応していたでしょ?あなたがそういう目で見るから、そう見えるのよ。」
防衛というのは「私は全く悪くない」(つまり相手が悪いと暗に言う)ことです。
 
当然、防衛された相手(つまり暗に自分が悪いと言われた相手)は、更なる批判を繰り出したくなります。「俺が悪いって言うのか!自分の感情もコントロールできないやつに言われたくないね!」など。
 
批判されたときには、一旦は相手の言葉を受け止める必要があります。
「そうなの。あなたから見て、私は感情的に見えたのね。」
そのあとは、その批判が正当か不当かを判断します。
正当なら、勇気を出して認めます。
  「確かに、そうだったかもしれない。」
  その後、「改善したい」か「いっぱいいっぱいなので、今は無理」かどちらかを言明します。
    「私も、態度が悪かったよね。直すように努力するね。」
    「確かに態度が悪かったかもしれないけど、あんな状況になってしまったら、
     感情的にならないのは、今の私には無理。私を追い詰めないように、
     あなたにも協力してほしい。」
  こういう言い方なら、その後相手も優しい言葉を出せます。喧嘩は止まります。
 
不当なら、キッパリと否定します。
  「私は、そうは思わないよ。あのときは、必要なことをちゃんと言葉にして伝えました。
   腹が立っていたのは事実だけど、そう言葉で伝えたし、当たったり、責めたりはしていません。」
不当な批判を否定するときには、あくまで「私の考え」という立場で言うことが大事です。
「私はそうは思わない」(←私の意見)という言い方と「それは違う」(←普遍的事実)という言い方には大きな違いがあることを、よく理解しておく必要があります。
大事なことは、あくまで「私の意見はこうだ」と主張することであって、相手を説得することではないということです。相手の意見が相変わらず「やっぱりお前は感情的だ」であっても、それを変えようとしないことが大事です。
 
 

自分と相手の意見が違っている状態に耐えられる「自己信頼」が大事

議論が水掛け論や感情的な喧嘩に発展するのは、
もともと自分に十分な自信がないために、
相手と自分の意見が対立した状態に耐えられず、
自分が安心したいために、相手の意見を変えようとする、
それに相手が抵抗することから生じるものです。
 
だから、
相手と自分の意見が違っていてもぐらつかないほどの、強い自分を持ち、
自分の意見は、自分の考えに従って持つようにする一方、
相手の意見も尊重し、それを変えようとしない(たとえ自分に対する批判意見でも!)。
という状態になることが、喧嘩を防ぐための、根本的な対策です。
 
 

喧嘩防止策その3:いかなる時にも相手を見下さない

なお、いかなる時にも「相手を見下さない」というのは、何よりも重要なことです。
「おまえは自分の感情もコントロールできないのか。」
「あなたは、思いやりがない、冷血人間よ。」
など、相手を貶める発言は、厳に慎まなければなりません。
 
 

苦情を言い合えれば、喧嘩は必要ない

カップルは喧嘩するものと思っている人も多いようですが、私はそうは思いません。
お互いに不満や辛い気持ちを表現し合うことは、絶対に必要です。でもそれは喧嘩しなくても出来ます。
お互いに苦情を言い合い、それをちゃんと聴き合うことができれば、喧嘩は必要ないのです。
 
そしてもしも、苦情を言っても聴いてもらえない。相手の苦情を聴きたくもない。そういう状態にあると気づいた場合は、お互いに苦情を言い合えない関係こそが問題だと気づいて下さい。そこを直さない限り、永久に喧嘩は続くでしょう。
 
 
お互いに、言いたいことを、相手を傷つけずに言い合えるようになり、それを受け止め合えるようになれば、喧嘩はあまり必要ないはずです。風通しがよく、とても快適な関係が築けます。ぜひそれを目指して下さい。


 

「ケンカの一本道?喧嘩に至る道はワンパターン」への5件のフィードバック

  1. とてもいいコラムをありがとうございます。わたしのためにとてもためになる記事だと思いました。結婚、離婚そして婚約と4?年の人生でいろいろ通ってきましたが、パートナーとの喧嘩はいつも私にとって難しいもののひとつです。議論は好きでも、口論は大嫌いだし、喧嘩をすると決まって心が深く傷つきます。喧嘩にいたってしまうパターンというのを時折見直す必要があると痛感しています。このコラムのような注意をしようと思っていてもいつの間にか忘れていしまい、険悪な喧嘩が重なるとそこにパターンがあることにようやく気づいて、これはやはり相性が悪いのかとか、自分に何か大きな問題があるのかもしれないとか、しばらく悩みます。苦情をいうことと喧嘩をすることは違うというメッセージはとてもためになりました。批判を受け止めるということは常に肝に銘じてきましたが、相手が自分の意見と真っ向から反対の考えを持っている状態にでも耐えられる自己信頼をもつ、というのは、なるほど、と思いましたが、なかなか自分では改めて気づけない大事なことだと思いました。

  2. Reikoさん
     
    コメントありがとうございます。
     
    ぜひ、ご自分を見つめて、うまく行く道を見つけて下さいね。
    応援しています。

  3. あづまさん
     
    あちこちの記事にコメントしていて恐縮です。
    しかし、この記事も、私にとって大変有意義でした。
     
    最近では、あづまさんの「教え」に従い、「私は」という言い方に変えて気持ちを
    伝えるように努力しています。
    そうすると、相手の反応も明らかに違いますね。
     
    連絡がないから寂しかった、とか、
    思わせぶりなメールだったから不安になった、とか。
     
    これまでであれば、メールが思わせぶりだ、だけで批判的な言い方だったのでしょう。
     
    これは、恋愛の相手だけでなく、子育てにも今日から使わなくては、と思います。
    子供との関係も、基本的にほぼ同じだと思います。
     
    子育ても、恋愛でも、あたたかい良い関係に変えていきたいな、と思っています。
    これからもよろしくお願いします。

  4. Mammyさん
     
    コメントありがとうございます。
    そうですか。お役に立てたようで嬉しいです。
     
    ところで、このコミュニケーションの方法は、夫婦など対等な大人同士の関係についてのものです。
     
    子供に対しては、私は+気持ち、という言い方をすると、子供は反論できなくなってしまうのでやってはいけない、というジョン・グレイの指摘があります。
     
    曰く、母親が感情を伝える形で男の子をしつけると、男の子は母親に対して罪悪感を感じ、母親に縛られてしまう。すると、その子が育ったときに妻の感情を受け止めるのが嫌でうんざりする(母親を思い出すから)ようになり、妻の話を聴けない男になってしまう、というものです。
     
    わたしもまだ、この点については勉強中ですので、断言は出来ないと思っていますが、とにかく、対等な関係の時にのみ使うようにする、ということを基本にして頂きたいと思います。

  5. あづまさん
     
    なるほど、非常によくわかりました。
    うちには、高校3年、中学3年、小学4年の3人の男子がいますが、
    上記のとおりだと実感しています。
    高校3年の男子はほぼ大人で、私とは自立した大人どうしの関係にあるので
    この方法が効果的でした。
    しかし、下の2名は危険かな、と感じていました。
    気をつけていこうと思います。
    ありがとうございます。
     
    Mammy

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