良かれと思ってしたアドバイスが裏目に出る理由

 

他人に、良かれと思ってアドバイスしたはずなのに、裏目に出てしまうこと、ありますよね。
 
解決志向ブリーフセラピーに「アセスメント」という概念があります。
セラピストとクライアントの関係を査定する、ということです。
 
セラピストから見て、クライアントが、
 
「問題はない」と言っている状態を「ビジター」
「問題はあるが、私のせいではない」と言っている状態を「コンプレイナント」
「問題があり、私にも責任がある」と言っている状態を「カスタマー」
 
といいます。
 
心の体力の状態と、関係しますよね。
 
あまりのショックに、現状を認められない状態というのは当然、「本当は問題はなかったんだ」と否認したくなります。この状態のときには当然「ビジター」になっているわけです。
 
少し落ち着いて、現状を認めてきても「なぜ私が!私のせいじゃないはず!」と思っている段階では、当然他者否定・不平不満愚痴状態になります。これが「コンプレイナント」です。
 
解決志向ブリーフセラピーでは、
「ビジター」「コンプレイナント」の状態のクライアントに対しては基本的に、
 
傾聴(話を聴く)
コンプリメント(よいところを見つけてほめる、辛い話はねぎらう)
 
という対応をせよ、と教えています。
 
 
私のように開業しているセラピストのところに「ビジター」が来ることは滅多にないと思いますが(なぜなら、お金を払ってまで相談したいわけですから)、スクールカウンセラーなどは「先生に言われたから来たけどさぁ」みたいな「ビジター」が来るようです。
 
そして、ここが大事なところですが、私たちが日常生活で接しているほとんどの人は、「ビジター」です。
というのは、他人に自分の恥ずかしい心の内まで話そうという準備なんて出来ていないからです。
問題について話そうと思っていないからです。
 
 
そう、ビジター、コンプレイナント、カスタマーという分類は、クライアントの心の体力の状態だけではなく、クライアントとセラピストの関係性(日常生活においては他人と自分の関係性)も重要な要因になって決まるものなのです。
 
そして、ビジターに対する接し方としては、
 
傾聴(話を聴く)
コンプリメント(よいところを見つけてほめる)
という対応をせよ、
 
でしたね。
 
 
もちろん、相手がアドバイスを求めてきていなくても、
本気で、まっすぐに相手と向き合って、苦言を伝えるということも、必要な場面はあるでしょう。
(但しそれはコミュニケーションのかなり上級編です)
 
ですが、
基本はやはり、
 
自分の幸せは自分の責任
相手の幸せは本人の責任
 
をわきまえて、ほとんどの他人はあなたにとって「ビジター」なわけですから、
余計なお節介をせず、話を聴いて、ほめたりねぎらったりする。
 
そういう対応が「基本」だということです。
 
 
ま、私も心理学を学び始めた頃はお節介したくなったものですが。
自戒を込めて。