★女と男の「心のヘルス」ー癒しの心理学 703号 2016.5.3
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さて、今日は、
ケンカになったり、険悪になったりする夫婦と、
たとえ、楽しくない話題を話す必要があるときでも、
ケンカになったり、険悪になったりしない夫婦。
その違いは何なのか。
という話のつづきです。
前回、
>残りの二つの要素、
>・感情をまったく言語化していない
>・自分の感情がそうなった「プロセス」を自覚していない
>については、
>長くなってきたので、次回お伝えします。
と、書きました。
今日はその話。
・自分の感情がそうなった「プロセス」を自覚していない
まずこっちから。
これは、私が「心の実況中継」と言って、
大事だ大事だと、ずっと主張していること、
「出来事」→「解釈」→「感情」
を、自分の中で、自覚して、言語化すること。
それが、欠けていると、
地雷になる、ということです。
たとえば、同じ例で行きますと、
前回、何か行事があったときに、
夫が、色々理由を付けてドタキャンした。
妻の側から見た場合、これが「出来事」です。
それに対して、色々な解釈(考え)がわき起こったはず。
「またか」
「自分勝手な」
「家族のことなんかどうでもいいんだきっと」
「仕事のことばっかり」
「またつぎもするんじゃ?」
「私から逃げようとしている」
「子供からも逃げようとしている」
「最低の夫と結婚してしまった」
最後の方は、解釈が解釈を呼んで
勝手に暴走した感がある解釈ですが。
でも、解釈はあくまで解釈。
自分が勝手に頭の中で考えたことです。
相手が同じ解釈をするかどうかは分からない。
いや、私の相談経験上、
もめる夫婦ほど、
相手は、自分とは違う解釈をしています。
相手の解釈が、おかしい、と見えることは、
多いものですが、
それを指摘する前に、
自分の側も、解釈がゆがんでないか、
本当に、細心の注意を払ってチェックした方がいい。
ひとりのときに、何を言いたいのか原稿を書いて、
で、それがおかしな筋になっていないかチェックして、
という練習をするのは、わりとオススメです。
最初は紙に書いた方がいいと思います。
慣れると、紙に書かないでもできるようになります。
お互いに、相手のせいにしていても、
不毛なだけですので、
まず、自分から、解釈を真っ直ぐに出来るように、
練習する。それが大事なことです。
話を戻しますと、
解釈のあとに、感情がやってきます。
・ショックだった
・うんざりした
・腹が立ってきた
などなど、色々あると思います。
こんな風に、自分の感情が、
自分で自覚できていることって、
とても大事なんです。
前回紹介したOKせりふの例
どうしても「またああなったらどうしよう」って不安に
なってしまうの。
これ、分かりますかね?
「またドタキャンするんじゃないか」
というのは、自分が頭の中で勝手に考えたこと。
つまり「解釈」なんですね。
それを、
どうしても「・・・・・」って(解釈してしまい)
不安になってしまうの。
※あえてカギ括弧内は・・・にしてあります
どうしても・・・そうなのだ、
という言い方で、
自分の中で、どうしても起きてしまう自動解釈に、
自分で責任を持とうとしています。
自分の解釈に、自分で責任を持つことの、反対は、
「あなたのせいで、私は不安になった」
というロジックです。
これはまさに、
・自分の感情がそうなった「プロセス」を自覚していない
ことから、起きます。
あなたのドタキャンで、
あのときとても大変で(事実)、
今回またドタキャンされるんじゃないかと、
つい想像してしまう(解釈)。
すると、不安になる(感情)。
という、三点セットを、ちゃんと自分で自覚すること。
そして、それを、相手に伝えること。
それが、大事なコミュニケーションです。
いや、相手に伝えることの前に、
自分で自分のことがちゃんと分かるということ。
言うなれば、自分とのコミュニケーション。
これが、一番の土台です。
さて。
最後に、
・感情をまったく言語化していない
ということについて、付け加えたいと思います。
これは、男性に比較的多いかもしれません。
「仕事で○○はこうすべき」
「子供の教育は△△すべき」
あるいは、「べき」という言葉は言わないにしても、
「こうするのがいい」
「ああするのがいい」
という表現をしていても、
自分の感情を言わない
という人。
たとえば、先ほどの例、
私が勝手に状況設定は考えたわけですが、
前回の大事な用事をドタキャンされたとき、
夫は、本当に、仕事上で切羽詰まっていた。
まあ、仕事していれば、そういう日もあります。
で、そのときの、伝え方なんですよね、
大事なのは。
○○の仕事だから。
○○の仕事なんだよ!
いちいち、ごちゃごちゃ言うな!
そもそも、お前がやるべき仕事だろう!
こういうのは、もちろんダメですよね。
では、どう言うのがいいのか。
それは、自分の感情をちゃんと言うってこと。
自分の【感情】をちゃんと言うってことです。
○子の大事な行事だってのは分かってる。
ただ、この仕事、落としたら本当にやばいんだ。
会社自体も、どうなるか分からない大きな案件で、
当然、ここでしくじったら自分の居場所も危うい
かもしれない。
だから、そのことが【心配】で、それどころじゃない。
まあ、このぐらい言えれば良いと思います。
ちゃんと【心配】だ、と自分の気持ちを言いました。
本当は、【不安】とか【怖い】などのように、
さらに素直な言い方ができるといいんですが、
まあ合格ラインでしょう。
(相手との関係を、悪くしないで済むライン
=合格ライン)
「そもそもお前の役割だ」とか、
そういう言い方はしていないですね。
自分が今どう感じているのか、
率直に言葉にしています。
私、思うんですけど、
夫婦の間に、
誰が何をする「べき」はないと思うんです。
決めごとをしたって、守れないことはある。
で、その時に大事なのは、
ちゃんと、率直な感情を、相手に伝えること。
これを、自己開示と言います。
子供の頃に、
ちゃんと気持ちを言う、それを受け止め合う、
というコミュニケーションを、
親がしていて、それを見て学んだり、
親が、気持ちを聞いてたので、
自分は、気持ちを言う習慣ができた、など、
家族の中で、気持ちをちゃんと伝え合う、
そしてそれを、受け止め合う、
そうした習慣を学べた人は、
大人になってからも、気持ちを言葉にするのが、
比較的自然に出来ると思いますが、
そうした習慣がない中で育った場合、
自分を変える努力をしないと、
できません。
気持ちを言っているつもりでも、
他人が聞いていると、
なに?
全然気持ちは言ってないよね?
ってこと、よくあります。
さらに、
警戒心が強いと、
気持ちを出せません。
人は、安全、安心な場所じゃないと、
素直な気持ちなんて、出せないものですから。
心の中で、戦闘モードが解けずにいる人は、
当然、素直な気持ちを言えません。
これが、仕事の激しいストレスから来る場合もあれば、
幼児期の安全の欲求が満たされずに育ったことが原因の
アダルトチルドレン的な問題のこともあります。
「素直な気持ちを出せない」
という症状の原因は、
ひとそれぞれ、異なっているんです。
あづまのコンサルでは、
ロジカルな分析と、経験と、直感などを総動員して、
原因を探りますが、
慣れないと、原因探しが迷宮入りするので、
自分でとり組む場合は、
まずは、行動から入ってみるのがオススメです。
つまり、
気持ちを言葉にして表現してみる。
とにかく、やってみる、ということですね。
やってみようとして、
何度やっても、全然できない。
ものすごく抵抗があるとか、
他人から見ると全然気持ちじゃないことを
言っているとか、
しまいには、気持ちって何だろう?
と分からなくなってきたとか。
そうなったら、やっぱり、
専門家を頼ってみた方が解決は早いでしょうね。
でも最初は自分で、
やってみることです。
気持ちを素直に表現する。
大事なことです。
今日のまとめ。
家族のコミュニケーションで大事なこと、後編。
・自分の感情がそうなった「プロセス」を自覚していない
・感情をまったく言語化していない
と、問題が起きる。
出来事→解釈→感情、の三点セットを自覚する練習。
心の実況中継の練習が有効。
そして、
自覚するだけではなくて、感情を言語化する習慣。
とくに、弱みを見せるような感情を表現すること。
これを「自己開示」と言う。
自己開示がちゃんとできているかどうか。
そこが、大事なことです。
家事をどっちが分担するとか、
話し合いをしたかしないかとか、
それこそ、
あやまったかどうかとか、
ほめたかどうかとか、
お礼を言ったかどうかとか、
そういうことよりも、
実は大事なことだと考えています。
ちゃんと自分を開いて素直になること。
弱みも見せること。
感情を言葉にして表現すること。
大事にしてくださいね。
ではでは!
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