【ココヘル730】恋愛ドクターの遺産第一話(5)セッション

 

★女と男の「心のヘルス」ー癒しの心理学 730号 2016.12.8
 
こんにちは。あづまです。
いつも読んで下さってありがとうございます。
 
 
 
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現在は、私の伝えたいセッションの理想を、
小説風にしてお伝えしようと、
作品を書いています。まあ、読みものとして
楽しんで頂ければと思います。
 
また、少しまとめて、解説を「ココヘル+」の方で書きたいと
考えていますので、物語だけではなく、心理学の学びがほしい、
という方は、そちらも合わせてご活用ください。
 
ココヘル+
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前回までのあらすじ
 
離婚の危機で悩んで父親に相談したゆり子は、
伝説のカウンセラーで「恋愛ドクター」の異名を取る祖父(故人)の
ノート「恋愛ドクターの遺産(レガシー)」を父から渡された。
そのノートは小説になっていて・・・
 
【登場人物】
(現在の人物)
 ゆり子 父からノートをもらった。離婚するかどうか悩んでいる
 幸雄 ゆり子の夫。 仕事はできるが共感力のない人。
(ノートの中の人物)
 恋愛ドクターA ゆり子の祖父(故人) ノートを書いた本人
 なつを ドクターの助手
 こばやん 今回のクライアント 妻に離婚を突き付けられ相談に来た。
 
 
 
恋愛ドクターの遺産(レガシー)(5) セッション
 
(クライアントを前にすると、先生、迫力が違う)
 なつをはいつもそう思う。別に怖い顔をしているわけではない。
あくまで優しく話し、穏やかに聞いている。それが先生のスタイルだ。
時には談笑もし、冗談も言う。はた目から見たら、ただの雑談にしか
見えない、そういう瞬間だってある。
 でも、何かが違うのだ。それは、鋭さ、というひと言で表現するには
軽すぎる「何か」だ。クライアントが話す話の、本当に些細なひと言や、
場合によってはまぶたの小さな動きさえも、先生は確実に拾う。
 
「本当に綱渡りだったんです。」
わずかに震えているような声で、こばやんは言った。
「会社の売上が減って、新規顧客を開拓する取り組みも、失敗続きで。
社運をかけて営業に行った大手の取引先との交渉も、相手の担当者が
ポーカーフェイスというか、本当にどう考えているのか腹の内を見せ
ない人で・・・結局はこちらが少し折れて値引きをする形で交渉は
成立したんですけど、最後の最後まで冷や汗ものでした。」
 
話しているうちに、いく分落ち着いてきたのか、
最後は声の震えもなく、淡々と語った。
 
「その頃、こばやんは、気晴らし、というか、何か自分の心身の元気
補給のための取り組み、というか活動は、何かされていましたか?」
 
(あ、ここ、大事なところなんだ)なつをはそう思った。
 
今日先生が積極的に質問したのはこれが初めてだ。先生はクライアント
がどんなに力説しても、そこは問題解決と関係ないと思ったら、
丁寧には聞くが、その後、その話題に触れることすらない。
華麗にスルーするのだ。
 
 逆に、ここが核心、というポイントにさしかかったら、獲物に食らい
ついた猛獣が噛みついて離さない、ぐらいの強い意志で、絶対に離さない。
食いつくところと流すところのメリハリがはっきりしているのだ。
 
 いや、食らいついて離さない、というのとは、ちょっと違う。なつをは
思い直した。以前先生が言っていた。クライアントは、核心に近づくと
ジタバタすることがある。その話題が動揺の元なので、無意識に話題を
変えようとしたり、関連していそうだが微妙に関係ない話題を滔々(とうとう)と
まくし立てたりして、核心に触れられることを避けようとすることがある。
 
 そんなとき、クライアントが進もうとする方向に、無理せず従って
いくことが大事なのだそうだ。関係ない話題だと分かっていても、
しばらくその話題につき合うのだ。たとえば、今日のクライアントでは
ないが、先日は、離婚するかしないかの話だったのだが、結婚生活の
どこが決め手になって離婚を考えたのか、という話題になったら、
その女性のクライアントは、新婚当初に、彼と一緒にベッドを買いに
行ったときの話をし始めた。
結局その話は現在の悩みと関係ない話だったのだが・・・
 
 こんなとき、先生はクライアントの流れに逆らわず、しかし、
確実に大事なポイントは押さえて会話を進めていく。まるで一旦捕らえた
獲物に縄をつけて放し、しばらく自由に走らせたあと、再びたぐり寄せて
確実に仕留める、といった感じだ。先日の女性クライアントの時は、
しばらくベッドの話題、つまり脱線につき合ったあと、夜の生活が離婚を
考えた原因ですか、と核心を突く質問をしてクライアントを驚かせていた。
ベッドから連想したにしても鋭すぎる、となつをは思った。
 
 今日のクライアントは、なつをが前回のセッションの時に「愛情飢餓」
ではないのか、と先生と議論になった、その、こばやんだ。でも先生は
愛情飢餓説には全く興味を示さない。そして、初めて積極的に質問をしたのが
・・・つまり先生が「食いついた」ということなのだが・・・
会社の危機からくる仕事ストレスの話だった。
 
「いえ、特に何も・・・仕事でいっぱいいっぱいで、気晴らしや運動など、
本当にする時間も余裕も無かったですから。」
 
「そうですか。こばやんは、会社で、次第に、些細なことに過敏になっ
たり、あるいは、周りの人から『最近扱いづらくなった』みたいに言われる
事はありませんでしたか?」
 
「えっ!? どうして分かるんですか? 確かに、会社の危機が続いて、
仕事に没頭して・・・とやっている頃、だんだん、周りの人がデスクで
立てる音が気になって注意したり、それでも気になって、耳栓をしたり・・・
周りの人から『最近変だよ』とは時々言われてました。」
 
「そうですか。なるほどね・・・やはり、仕事上のプレッシャーというか、
会社がどうなるか分からない、どうにかしなくてはいけない、という危機感、
責任感、重圧、そして、焦りみたいな物も感じていらっしゃったかも
しれませんね。」
 
「いや、その通りです。焦りです。重圧もありましたが、自分がこの状況を
打開できるだろうかという不安と、打開できなかったら会社はどうなって
しまうのだろうという焦り・・・今思い出しても気分が悪くなります。」
 
「本当に大変でしたね。家族を守るためのお仕事で、神経をすり減らす
ことに・・・そして会社まで守らなければならないという重圧・・・
お察しいたします。」
 
なつをの目から見ても、この瞬間、クライアントがふっと肩の力が抜けて
いくのが分かった。表情が急にゆるんで、目にうっすら涙が浮かんだ。
こんな変化があったときは、クライアントの問題は一気に進展していくことが
多い。
 
今日も先生のセッションはスゴいのひと言だ。
 
やはり核心は幼少期の愛情飢餓問題ではなかったのだ。仕事からのストレスに
パッと光を当てて、簡単な質問で、クライアントの「分かってもらいたい」
ポイントにたどり着く。
 
「ところで、こばやん、もし、タイムマシンに乗って当時・・・つまり
ストレス度がマックスだった頃に戻ってやり直せるとしたら、元気補給や、
健康維持のための、どんなことをしたいですか?」
 
「そうですね・・・食べ歩きですかね。」
「食べ歩き!?」
 
こばやんは、絵に描いたような中年太りのおじさんだ。決して不健康そう
ではないが、少し小太りだし、あごもうっすら二重あごだ。そのこばやん
から、健康のために食べ歩きをする、と聞いて、なつをは心の中で
「おいおい」とツッコミを入れた。
 
先生も同感らしく、ちょっと驚いている様子だった。
 
「いや、そうですよね。ウォーキングの方がいいですよね。でも、
ただ歩くだけ、と思うとモチベーションが続きません。それやから、
しっかり歩いたら、美味しい物を、食べ過ぎないようにしながらですけど、食べる。
それを『食べ歩き』と称して、彼女とつき合っていた頃・・・あ、彼女いうのは
今のカミサンですけど・・・よくやっていたんです。」
 
「ああ、なるほど。終わったあとに美味しい食事のごほうび付きの、
ウォーキングね。」
 
「そういう言い方をすると、心身に良さそうに聞こえますね。」
ふたりは楽しそうに笑った。
 
「いいと思いますよ。あ、でも、奥さまと一緒にされていたんですよね?
 新婚当初とか?」
 
「はい。でも、カミサンと険悪になってからは、次第にやらなくなりましたね。
たべある・・・いや、ごほうび付きのウォーキングは。」
 
「今からまた、美味しいごほうび付きのウォーキングを再開することは
出来ますか? 奥さまを誘うのは今すぐだとハードルが高ければ、
お一人でも、お友達を誘ってもいいと思うので。」
 
「はい。結婚後もそうやってひとりで歩いたりしたこともありました。
本当は気持ちよかったんですが、いつの間にか忘れていました。
ええ、またやってみます。」
 
「では、今回はこんなところで・・・ご相談ありがとうございました。」
 
「こちらこそ、ありがとうございました。」
 
 
 
 
(つづく)
 
こちらにもアップされています。
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◆編集後記
 
助手の「なつを」ですが、なぜこの名前なのか。
もし由来(ちょっと言葉遊びですが)が分かった方は、
ネタバレOKなので、こちらのブログにコメントしてくださいね。
 
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