彼の言葉が信じられない。本当なのかどうか確信が持てない。
かといって、「嘘でしょそれ?」と言って詰め寄っても、かえって関係を悪化させてしまうことになりそう。
仕方ないので、もやもやした気持ちを抱えたまま、表面的には信じたことにする、なんて経験したことありませんか?
恋愛以外でも、仕事の取引相手の言い訳が「かなり怪しい」といった場合にも、今日の話は当てはまります。
私はあまり方便を使うのは好きではない(※)のですが、ビジネスの現場や、恋愛で、上手いことごまかしながら相手を上手く誘導していく。そんな人間関係のつくり方に長けた人も世の中にはたくさんいます。
※方便を使わないということは、できるだけ本音を正直に話すということです。一見良いことずくめに感じるかもしれませんが、本音を言われた側に、受け止める度量が求められます。方便を使わないというのは、本音でぶつかり合うという意味ですから決して楽な道ではないし、余計なエネルギーを使うように感じる道でもあります。それに、やりすぎれば関係を壊すこともあります。本音が手放しで素晴らしいとも、言い切れないわけです。
相手の言葉を信じて良いかどうか、それを深読みする方法について書いていきます。
そのタイミングで、その出来事が起きる確率はどのぐらいか計算する
たとえば、彼と不倫関係にあって、今年こそは私と過ごしてくれる、という約束をしてくれた。ところがクリスマス当日に事故が起きて、彼は来られなくなった、というような話があったとしましょう。これまで彼は事故をよく起こすような人でしたか? 事故自体が頻度の低い出来事なので難しいですが、少なくとも事故を起こしそうな人ですか?
そして、たまたま、クリスマスに事故が起こる確率って、どのぐらいでしょうかね? 10年にいっぺん事故を起こすような人だったら、大体1日あたり千分の一ぐらいですよね。その確率の出来事が、その日に限って起きた、それって、自然なことなのでしょうか。
こういうことをよく分かっていて、計算できる人は、このような如何にも怪しい言い訳は使わないと思います。たとえば、仕事の会議が急に入った。など。そして日頃から、週に1回ぐらいはそういうことが起きていれば不自然ではないですから、日頃から布石を打っている可能性があります(会議がなくても、会議が急に入ったことにする、など)。ここまで確信犯になると、見破るのは難しくなってきますね。
Q毎日その出来事が起こる確率が均等だとしたら、その日にそれが起きたことは、どのぐらいの確率で起きたと言えるでしょうか?
(ある1日を想定するのが難しい場合、たとえば交際3か月の間に、探偵に張り込まれて写真を撮られた、などの場合は、1日の確率を出したあと、期間の分だけ日数をかけ算して下さい(期間が90日なら90倍にする、というような感じです)
その出来事が起きて、誰が得したか、誰が損をしたかを考える
たとえば、二人の行動が、匿名の投稿者によってネットにアップされてしまった。そして、二人の関係が明るみに出てしまった。たとえば、そんな出来事があったとします。誰がそれをしたか、確証を得るためには、徹底的に調査するしかないでしょうし、探偵やハッカーレベルの調査力が必要になるかもしれません。
ただ、誰がやったのか、大まかな当たりを付けるところまでなら、そこまでの調査力は必要ありません。利害関係を考えれば良いのです。
その出来事を意図的に起こした人がいたとすれば、その張本人は、何らかのメリットを受けているはずです。
たとえば、不倫関係が明るみに出て、彼が仕事上の地位を失ったとします。彼の奥さんが腹いせにやったのでしょうか? 勿論その可能性もありますが、自分の夫が仕事で失脚すれば奥さんも損をしますね。後先考えない感情的な人ならその可能性もありますが、ふつう、人は自分が損を被る行動はしないものです。仕事上で彼を蹴落としたいと考えていた誰かが、不倫の情報をつかみ、これ幸いと行動を起こしてきた可能性を考えた方が、損得からすれば、筋が通っていますね。
Qその出来事が起きて、得をしたのは誰でしょうか?
Qその出来事が起きて、損をしたのは誰でしょうか?
信じたフリをして、カマをかける
さて、ここからは少し高度になってきますので、素人判断で行動する場合、あくまで自己責任でやってくださいと念を押しておきます。
タイミング良くそれが起きる確率を考え、利害関係を考えると、相手が嘘をついているらしいことも見えてきますが、そこで「あんたウソついてるでしょ? なんでそうなの?」と、確証を握っていないのに詰め寄るような、直情的で子供っぽい行動を取ることは、全く得策とは言えません。
そこで、「信じたフリをしてカマをかける」策をとれるぐらいにしたたかになりましょう。
その際に、何をすべきかは、一般論では語れません。その出来事に対して、個別に考える必要があります。だからここに記事として一般論は書けないのですが、考えるためのポイントを質問にしてみますので、考えてみて下さい。
Q相手の言っている事実が本当なら、必ずあることで、
相手の言っている事実がウソなら、ないことは何?
たとえば、事故が起きたというのなら、何らかのダメージがあるはずです。車の傷なら修理や、怪我なら病院に行くなどの行動があるはず。
そこで、手助けを申し出るわけです。あくまで相手の言っていることが本当だという前提で、本当に手助けを申し出ます。疑うのではなく、信じてみるのです。
でもそれで、相手が心底ありがたがってくれて、あなたの手助けを受け入れたら、事実だと分かりますし、何かごにょごにょ意味不明な理屈を言って、手助けを断るようなら、怪しいということがより明確になります。
ポイントは、疑う心で接するのではなく、信じる心で接するということです。
こんな風に、必要なときには相手の言葉の裏を読むことも、大事になります。
単に相手の言葉を鵜呑みにするのではなく、かといって、
あやふやな根拠で詰め寄って、関係を悪くするだけという、軽率な行動をするのでもなく、
逆に、何も言わず、結論に近づけずに、いつまでももやもやしてしまうのでもなく、
きちんと相手の言葉の裏を読むことまでして、状況を把握することが、次の一手を考える上で、役に立ちます。
但し、一人で取り組むと難しいかもしれませんので、そんなときは、コンサルティングをご用命下さい。