私たちが何となく思い込んでいる信念の中に、
「良いことと悪いことのバランスがある」
というものがあります。
何か、ツキの総量があって、良いことが起こると、その分悪いことが起こって、自然にバランスが取れている、というような。
果たしてそれは、本当なのでしょうか?
私は、それは間違いだと考えています。
幸せに生きることも出来れば、トラブルばかりの人生に足を踏み入れることも出来る。
そう考えています。
ではなぜ、何となく、良いことと悪いことのバランスがあるように感じるのでしょうか。
私はそれは、人間関係から生まれた思い込みなのだと解釈しています。
特に、閉鎖的な人間関係では、そういう思い込みが生まれやすい条件が揃います。
・誰かひとりだけが幸せ続きだと、嫉妬される
・嫉妬されると、親切にされなくなる
・結果的に、良いことが続くと、(嫉妬によって)悪いことが起こる
という仕組みで。
閉鎖的な人間関係のうち、私たちの信念にもっとも大きな影響力を持つのが子供時代の家族です。兄弟間の嫉妬や、親の嫉妬(多くの親は頭では子供の幸せを願いながらも、感情的には自分以上の幸せを子供に許さないものなので)などによって、幸せと(嫉妬による)不幸がペアになりがちです。
ここでよくよく、嫉妬の肯定的な側面を考えてみると、実は、相手ばかり得をしていて、自分が損をしているにもかかわらずそれに気づかないようでは、他人から利用される一方になってしまいます。だから、自分が損をしていることを敏感に察知する能力があることは、大事なことなのです。
すると、良いことがあると悪いことがある、の本質は、こういうことだとわかります。
自分だけ得をしようとして、他人の嫉妬の感情をないがしろにしていると、
結局最後に自分が損をする、と。
ということは、良いことと悪いことのバランスを破る方法は、シンプルです。
分かち合うことです。
自分だけ得をしようとするのではなく、それを(特に閉鎖的な人間関係では)周りの人と分かち合うこと。
周りの人への貢献を忘れないこと。
すると、
・他人の幸せを喜べる、人徳のある人からは、幸せを祝福されるのはもちろん、
・嫉妬心の強い人からも、利用価値があるからと、重要視されて、
動機はともあれ、周りの人から大事に扱われるのです。
嫉妬心などなく、お互いに相手のことを思いやり合う関係を持ちたいと願うのは、もちろん素敵なことですが、現実問題、やはり嫉妬心が強い人ともつきあっていかなければならないわけで、幸せを分かち合ったり、周りの人に貢献したりすることは、自分の身を守るためにするのだと考えてもよいと思います。
もしもあなたが、
良いことがあったら悪いことがある、という思い込みを何となく持っていて、そのために、幸せに対していつもブレーキを踏んでいるとしたら、このコラムをよくよくお読みになって、その思い込みをちょっとだけ崩してみませんか?
良いことがあったあとには悪いことがある!?