社会学系の要素の多い本には、
親が離婚すると、子供の精神に影響する、という話が書いてあります。
それは間違いではないのですが、
しかし、逆は真ではありません。
親が離婚しなければ、子供の精神への影響は小さい。
これは、まったく的外れです。
関係にそれほど執着しない人であれば、別れを選ぶほど、関係が悪化している。
この状態があったときに、別れずに、泥沼の夫婦関係を続けていたり、近づくとケンカになるからといって、コミュニケーションを取らないようにして、仮面夫婦、同居人夫婦を続けていたりすると、
その「心の距離」が子供に悪影響を及ぼします。
しかも、あからさまに離婚した場合は、子供も、自分の恋愛観や結婚観に親の離婚が影響しているのかもと冷静に振り返ることが出来ますが、親が問題にフタをする傾向が強い人だと、夫婦関係は深刻なほど冷え切り、壊れているのに、表面的には夫婦を続けていて、こどもはそれが普通の状態なのだと理解してしまいます。
つまり、世の中の人は不満なことや明らかに問題があることを解決しようとしないのだと。
問題を解決しないで、フタをして、そろりそろりと生きるのが人生のあり方なのだと。
しかも、そういった家庭では、親の言葉と本心が違っていますから、子供は、「人は本心を言わないもので、腹黒く怖い存在だ」ということを学びます。
親が子供に与える悪影響のうち、最大級のものをもうひとつ挙げます。
「問題を自力で解決しようとしない習慣」です。
離婚も、子供には大きな影響を与えるでしょう。離婚後の子供の心のケアも必要です。
しかし、問題にフタをして、その問題を自力で解決しないという習慣を、親が子供に身をもって教えるというのは、離婚以上に深刻な悪影響だと、私は思います。
それも、問題にフタをした結果、幸せな生活を得るのではなく「心の距離の遠い」家庭を形だけ維持しているとなったら、いったいどれだけの悪影響を子供に与えるのでしょうか。
この記事をお読みになっているあなたが、
・いま、親の立場で、離婚を考えている
のであれば、まず真剣に、夫婦関係を徹底的に修復する努力をしてください。そして、どうしてもダメだと決めたときには、離婚を選んでください。期限を決めて。2年ぐらいが妥当です。相手が依存症の場合でも最大5年ぐらいではないでしょうか。
・これから自分が結婚しようという立場
なのであれば、親が離婚しなかったからOK、みたいな、「事なかれ主義」で発想するのではなく、どうか、家族のメンバー間の心の距離がどうだったか、そこに意識を向けてください。子供の頃の家族間の心の距離は、そのまま、大人になったあなたの人間関係の距離感に関係してきます。
他人との心の距離は、潜在意識に刻み込まれていますので、意志の力だけでは動かすのが難しいものです。心理療法の技法を活用して、潜在意識に働きかけて変化させるのが近道です。
親の離婚ではなく、家族間の心の距離こそが、子ども心に大きな影響を与える。
この点を、よく覚えておいて下さい。
なお、そういった家庭を作ってしまう親を責める意図はありません。
多くの場合、そのような親もまた、愛と絆の作り方をよく学ばずに育ったのです。
そうやって、親から子へと、うまく行かない習慣が受け継がれていきます。
もしあなたが、不幸の世代間連鎖の中にいると気づいたのなら、気づいたあなたが断ち切って下さい。
よく学び、自分の心を癒し、悪い習慣は修正し、そうやってとり組めば、解決は可能です。
親の離婚ではなく、家族間の「心の距離」こそが傷になる