「いい、ダメ、という話ではないのですが、わりと、自己中心的な人を周りに居着かせやすいタイプではあります。」
「え、それ、嫌です〜。」とても悲しい寂しい調子で、なつをが嘆いた。
ドクターはなつをの嘆きに構わず話を続けた。「湯水ちゃん、なつをさんとこうしてお話をしてみて、何か気づいたことはありましたか?」
「はい。なつをさんと話をしていると、なんだかとても温かい気持ちになるというか、こちらのことを心から気遣ってくれるのがよく分かるので、とても居心地が良かったですし、話しやすかったです。」
「なるほど。今のワークでは、湯水ちゃんは聞き役だったわけです。それでも『話しやすかった』と言いましたね。」
「はい、そうなんです。私もなつをさんの話に乗って、今川焼きのことについて自分の話を少しだけさせて頂いたのですが、その瞬間に、なつをさんは私の考えていることや気持ちなどを全身全霊で受け取ってくれたように感じました。」
「えっ・・・!?」なつをは少し驚いたような表情をした。
一方で、ドクターと湯水ちゃんは、そうそう、確かにそうだ、と言うかのようにゆっくりと幾度かうなずいた。
「湯水ちゃん、もし湯水ちゃんがオレサマ・・・つまり自分の考えを相手に言いたい一方、相手の考えなんて全く興味がない人だったら、なつをさんとの会話はどう感じるでしょうかね?」
この瞬間、湯水ちゃんは「待ってました!」と言わんばかりに元気な声で語り始めた。「そうそう!私も自分の話を差し挟んだとき、それを想像しながら話していたんですけど、もし私がオレサマだったら、こんなに自分の話に関心を向けてくれるなつをさんのことを『ホントにいい奴だ〜』って感じたと思います。」
「あっ!」なつをは少し青ざめた。「いい奴だ、って何人ものオレサマな人から実際に言われました・・・」
「やっぱりね。私がオレサマだったら、こんないい奴、絶対離さないって思うと思うもの。あ、いや、オレサマだったら、自分のものにしたい、自分の支配下に置きたい、という考え方かもしれないけれど。」
「というわけなんです。」ドクターが落ち着いた調子でそう言って、このワークは終わった。
「先生のおっしゃりたいことは、よく分かりました。でも、どう解決したらよいのかが全く分かりません。」少し不安そうに、なつをはそう言った。
第四幕 引き寄せの間違い
「ではここで、」ドクターが言った。ドクターとなつをのセッションはまだ続いている。「なつをさんへの行動課題をお伝えしたいと思います。」
「はい、お願いします。」
「それは、フォーカシングです。」
「フォーカシング・・・ですか。」なつをはきょとんとしている。
「はい。フォーカシングはご存知ですか?」
「・・・いいえ。」なつをは小さな声で答えた。
「まあ、いま知らなくても大丈夫です。すぐに覚えられると思いますよ。」
それを聞いて、なつをの表情が少し明るくなった。
「但し、私がオススメしたいのは、ただのフォーカシングではありませんので、少し段取りを踏みつつ覚えていってほしいのです。」
「・・・練習が必要ってことですか?」なつをが不安そうに聞いた。
「まあそういうことです。でも、取り組みそのものはシンプルですし、きっとできるようになると思います。それに、身につけたら出会いの流れが変わるはずですから、スキルそのものが一生の財産になると思うんですよ。」
「それを聞いてやる気が出てきました。」
「そうそう、その意気です!」
(つづく)
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