恋愛ドクターの遺産(5)セッション−1

恋愛ドクターの遺産 第一話 第三幕 「セッション」

(クライアントを前にすると、先生、迫力が違う)
なつをはいつもそう思う。別に怖い顔をしているわけではない。あくまで優しく話し、穏やかに聞いている。それがAのスタイルだ。時には談笑もし、冗談も言う。はた目から見たら、ただの雑談にしか見えない、そういう瞬間だってある。
でも、何かが違うのだ。それは、鋭さ、というひと言で表現するには軽すぎる「何か」だ。クライアントが話す話の、本当に些細なひと言や、場合によってはまぶたの小さな動きさえも、先生は確実に拾う。

「本当に綱渡りだったんです。」
わずかに震えているような声で、こばやんは言った。
「会社の売上が減って、新規顧客を開拓する取り組みも、失敗続きで。社運をかけて営業に行った大手の取引先との交渉も、相手の担当者がポーカーフェイスというか、本当にどう考えているのか腹の内を見せない人で・・・結局はこちらが少し折れて値引きをする形で交渉は成立したんですけど、最後の最後まで冷や汗ものでした。」
話しているうちに、いく分落ち着いてきたのか、最後は声の震えもなく、淡々と語った。

「その頃、こばやんは、気晴らし、というか、何か自分の心身の元気補給のための取り組み、というか活動は、何かされていましたか?」

(あ、ここ、大事なところなんだ)なつをはそう思った。今日先生が積極的に質問したのはこれが初めてだ。先生はクライアントがどんなに力説しても、そこは問題解決と関係ないと思ったら、丁寧には聞くが、その後、その話題に触れることすらない。華麗にスルーするのだ。
逆に、ここが核心、というポイントにさしかかったら、獲物に食らいついた猛獣が噛みついて離さない、ぐらいの強い意志で、絶対に離さない。食いつくところと流すところのメリハリがはっきりしているのだ。
いや、食らいついて離さない、というのとは、ちょっと違う。なつをは思い直した。以前先生が言っていた。クライアントは、核心に近づくとジタバタすることがある。その話題が動揺の元なので、無意識に話題を変えようとしたり、関連していそうだが微妙に関係ない話題を滔々とまくし立てたりして、核心に触れられることを避けようとすることがある。
そんなとき、クライアントが進もうとする方向に、無理せず従っていくことが大事なのだそうだ。関係ない話題だと分かっていても、しばらくその話題につき合うのだ。たとえば、今日のクライアントではないが、先日は、離婚するかしないかの話だったのだが、結婚生活のどこが決め手になって離婚を考えたのか、という話題になったら、その女性のクライアントは、新婚当初に、彼と一緒にベッドを買いに行ったときの話をし始めた。結局その話は現在の悩みと関係ない話だったのだが・・・
こんなとき、先生はクライアントの流れに逆らわず、しかし、確実に大事なポイントは押さえて会話を進めていく。まるで一旦捕らえた獲物に縄をつけて放し、しばらく自由に走らせたあと、再びたぐり寄せて確実に仕留める、といった感じだ。先日の女性クライアントの時は、しばらくベッドの話題、つまり脱線につき合ったあと、夜の生活が離婚を考えた原因ですか、と核心を突く質問をしてクライアントを驚かせていた。ベッドから連想したにしても鋭すぎる、となつをは思った。

恋愛ドクターの遺産(4)−2

こばやんが、初回のセッションで話した内容を要約するとこういうことだ。
妻から離婚を言い渡された。妻曰く、自分は妻の話を聞いていないそうだ。ただ、自分としては聞いているし、必要なアドバイスもしてきたつもりなので、そう言われるのは心外だ。しかしそれを伝えたところ「だからあなたは分かってない」と言われて、ますます妻の気持ちは離れているようだった。
自分としては、家族を守るために一生懸命だったし、妻の話も聞いていたし、できるだけ頑張っていたつもりだった(し、今もそうしている)。
ただ、気になるのは、仕事が本当に忙しくて、家でもささくれだった気持ちでいたことが、結構多かったし、それが5年ぐらいずっと続いていたのは事実だ。

先生も、こばやんの子供時代のことを聞いた。こばやんは実家が商売をやっていて両親共に店に出ていて忙しかったこと、学校から帰ってきても誰もいないことがあって寂しかったことなどを話していた。

子供時代に寂しかったのだから、愛情飢餓があって、現在の夫婦関係の問題が起きている。なつをは、そういうことをドクターから教わったし、心理学の本にもそう書いてある。夫婦関係は、自分が親子関係で未解決になっている問題を再現する舞台になると。先日のMさんのセッションではドクターは自信満々に「あなたと奥さまの間に起きる問題は、実はあなたとお母様の間の、未解決の心理的な問題なのです。あなたの場合は、子供時代の『愛情飢餓』を未だに引きずっていることが大きく影響しているようですね。」と言っていた。
今回も似ているケースだからなつをは「愛情飢餓」だと言ったのに、ドクターからいきなり頭ごなしにダメ出しをされて、内心頭にきていた。

(自分が教えた話なのに・・・自分が言うのは良くて、私が言うのは許さない、ということなの・・・?手柄を独占したいってこと? 尊敬できる先生かと思ったけど意外に器が小さいのかも・・・ただ、最後に言われた「クライアントから意識がそれている」というのは当たっているだけにぐうの音も出なかった・・・)

(2016/12/06追記:メルマガと数字を合わせるため連載の番号を変更しました)

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恋愛ドクターの遺産(4)

「先生、これって結局、愛情飢餓からくる問題ですよね?」
なつをは言った。なつをは20代後半ぐらいの、細面の女性だ。白衣を着ている。
Aはしばらく黙っていた。このAというのが、恋愛ドクターだ。
Aは少し首をかしげ、しばらくしてから小さい声で答えた。
「君は、見るべきところを見ていないね。」
「だって先生、どう考えても、この症状は、先日のMさんとも一緒ですし、先日先生に勧められて読んだ「恋愛依存症」の本にも、そう書いてありますよ?本を薦めたのは先生じゃないですか!」

Aは黙って席を立とうとした。
「先生!ちょっと!どうなんですか!」
「もう少し落ち着いてくれないか。」
「・・・すみません。」

Aは仕方ないな・・・という様子で、再び革張りの椅子に座り、なつをに説明を始めた。
「君が「愛情飢餓」と判断したとき、君の意識は、どこに向いていた?」
「意識が・・・って・・・ここにありますけど。」
「君がそこに居るのは分かってるよ。そうではなくて、自分の意識を、どこに向けていたか、ということを聞いているんです。」
「意識をどこに向けるか・・・考えたことありませんでした・・・あ、でも、昨日読んだ本のことを思い出していました。」
「そう、それが間違っている、と言っているんだ。」
「本を読んではいけないということですか?先生が読めとおっしゃっ・・・」

Aはややいらだったような早口でかぶせるように言った。
「読むことはいいことだ。ただ、診断を下すときに、君は本のことばかり考えて、目の前のクライアントから意識がそれている、と言っているんだ。」

「えっ・・・!?」
それまで強い口調でドクターにくってかかっていた助手のなつをが、ここで急に黙り込んだ。

なつをはドクターAの助手だ。ホームズとワトソンのように、一緒に事件・・・この場合は男女問題だが・・・の解決に当たっている。
この日は、通称「こばやん」というクライアントが相談に来ていた。関西出身で苗字が小林、先生は親しげに呼ぶのが好きで、このクライアントのことは「こばやん」と呼んでいた。先生自身は関東の出身なのだが。
こばやんは30代後半の男性で、妻から離婚を突き付けられて、「離婚したくない」「なんとか修復したい」と相談に来たのだった。

恋愛ドクターの遺産(3)恋愛ドクター

恋愛ドクターの遺産 第一話 第二幕 「恋愛ドクター」

ゆり子は自宅に帰って来た。日頃は気にならないが、よその家・・・実家・・・から帰ると「わが家の匂い」がハッキリと分かる。ゆり子の家はリビングに大きな窓があって太陽が差し込むせいか、布団を太陽に当てて干したときのような、少しほこりっぽいような匂いがした。
ゆり子は、夫がまだ帰宅していないのを確かめると、自分の部屋にこもって例のノート「恋愛ドクターの遺産(レガシー)」を開いた。どうやらこのノートは、予想していた恋愛相談のカルテのようなもの、あるいは勉強のためのテキストのようなものとは違うことが分かった。

(物語なんだ・・・)

全編、小説のように書かれている。これが「恋愛ドクター」のフィクションなのか、それとも、実は小説風に書いてある「カルテ」や「記録」なのか、それは今となっては確かめようもない。そういえばある小説だったかマンガだったかで読んだことがある。錬金術師は、己の秘伝が盗まれないように、自らの実験ノートを、それと分からないように偽装して書くことがあった、と。そもそもその話自体、実話かフィクションかわからないのだが、もしかしておじいちゃんが、恋愛相談の秘伝を隠すために小説風に記録を付けていたら・・・と想像するとついニヤニヤしてしまった。

(おじいちゃん・・・)

今までほとんど実体のない、霧かかすみのような存在だったおじいちゃんが、急にゆり子の心の中で存在感を増してきているのを感じた。

(お父さんも、こんな風におじいちゃん・・・いやお父さんにとってはお父さんか・・・の存在を感じていたんだろうか。)

ゆり子はそんな風に想像してみた。でも、ノートの中に書いてある話を早く読みたい、早く知りたいという衝動が勝ち、お父さんのことより、物語を読む方へと気持ちが向かっていった。

恋愛ドクターの遺産(2)

実は、ゆり子はいま、離婚を真剣に考えはじめたところだ。夫はどことなく宇梶剛士似の、とても仕事のできる人で、職場ではとても輝いていたしかっこよかったのだが、つきあい始めてみると、話を聞かない、共感力のない人で、何度も悲しい思いをしてきた。結婚したらよくなるかもと思ってそのまま結婚したが、結婚してもまったく変わらなかった。
たとえば、ゆり子が職場で、わりと有名なトラブルメーカーの男性社員と仕事上の交渉をしなければならなかったとき、相手の理不尽な要求に振り回されて自職場を巻き込んだ大ごとになったことがあった。結局は相手の問題ということで事態は収拾したのだが、その渦中にいるときに、支えてもらいたくて、家に帰って夫にその話をしたら、「お前さぁ、そういうところ、脇が甘いんだよなぁ」のひと言。
確かに、脇は甘かったし、次に同様のことがあったら、もっと気をつけると思う。ただ、ほしかったのは、そういう言葉じゃなかった。ほしかったのは・・・「大変だったな」とか、「お前よく頑張ってるな」とか、そんな共感の言葉だった。一番の味方でいてほしい人から、一番いたわってほしい瞬間にダメ出しの言葉を食らう。大変な痛手だった。今でも、その時のこと・・・職場でのことではなくて、夫の言葉・・・を思い出すと涙がにじんでくる。
夫は、浮気をしたわけでも、ギャンブルにのめり込んだわけでも、アルコール依存なわけでもない。離婚の「一発アウト」の条件に当てはまっているわけでは、ない。だからこそ、ゆり子は今まで何とかなるかも、と思って頑張ってきたのだが、そんな、一発アウト条件には当てはまっていなくても、毎日、共感がなく、愛情を感じられない生活をずーっと続けていくことは、自分の魂がゆっくり死んでいくようなものだった。次第に毎日の生活に喜びが失われていき、見る景色も、不思議なもので本当にモノトーンになっていった・・・
もう無理・・・そう思って、ゆり子は意を決して両親に相談したのだった。両親はゆり子の決意を察したのか「ゆりがそうしたいなら、いつでも戻っておいで」と言ってくれた。ゆり子は、ほっとして、声を上げて泣いてしまった。
そんなことがあって、何度か実家に相談・・・実態は避難かもしれない・・・に来ていたときのことだった。父が例のノート「恋愛ドクターの遺産(レガシー)」とやらを渡してくれたのだった。

ゆり子は実家から自宅へと帰路についた。同じ沿線なのだが、それぞれマイナーな駅で、各駅停車で20分ぐらいの距離にあった。ゆり子は電車の中でノートを開きたい衝動に駆られたが、祖父の個人的な記録でもあるノートを他人に見られるのも嫌だったし、万が一読みながら自分が泣いてしまうようなことがあっても困ると思って、じっとがまんした。
何もすることがないと、電車の中は手持ち無沙汰で退屈だ。向かいに乗っている人たちを観察することにしてみたが、中に、仲の良さそうなカップルがいて、楽しそうに談笑していた。(私もあんな風になっているはずだったのに・・・)見ていると胸の痛みが強くなるような気がして、人間を観察するのはやめた。
ゆり子はさらに気を紛らわそうと、車窓から外を眺めた。夕焼け空に飛行機雲が輝いて見えた。そんなものを改めてまじまじと眺めたのは久しぶりだった。○○駅から××駅までの間が、今日は格別長く感じた。

恋愛ドクターの遺産(1)ノート

恋愛ドクターの遺産 第一話 第一幕 「ノート」

「ゆり、このノートをあげるよ。」

ゆり子は、父が差し出した黄ばんだノートを受け取り、表紙を、そして裏返して裏表紙を眺めた。(埃っぽいな)ゆり子は思った。表紙には「A」とだけ書いてある。そのときちょうど「ボーン・ボーン・・・」柱時計の音が鳴った。文字通りそれはおじいちゃんの時計だ。もちろんゆり子自身はそんな時計を家には置かないが、実家は物持ちがいい方で、両親はその時計をいまだに手入れして使っている。

「お父さん、これって・・・」
「ああ、おじいちゃんのノートだよ。」

曰く、ゆり子の祖父(つまりゆり子の父親の父親だ)はカウンセラーをやっていたそうで、頭脳明晰、当時「恋愛ドクター」の異名を取っていたのだとか。一度親戚が集まったときにそんな噂を聞いたことがあったが、父も末っ子、ゆり子も父親が40過ぎで生まれた子なので、物心ついた頃には祖父は他界していて、ゆり子は直接話した記憶はない。赤ん坊の頃に抱っこされた写真だけが、唯一、祖父との関係を示す証拠だった。

「おじいちゃんのノート・・・これを・・・」

ゆり子がどう受け取っていいのか戸惑っていると、父が言った。

「ああ、ゆり子のおじいちゃんは、恋愛ドクターと言われていたんだよ。恋愛とか結婚生活の悩みに、鋭く切り込んだアドバイスをしていて、評判だった。それと、その傍ら、どこまで本当の話なのか、どこまでフィクションなのか分からないノートを残していたんだ。」
「それがこのノート・・・?」
「そう。恋愛ドクターの遺産(レガシー)だ。お父さんは勝手にそう呼んでる。お父さんも若い頃、恋愛で悩んだときに、おじいちゃんのこのノートをこっそり見て、色々勉強させてもらったんだ。役に立ったこともあったし、的外れのこともあったけど、このノートがあって良かった。今はそう思う。」

ゆり子はノートを開いて、ぱらぱらとめくった。丁寧な文字でびっしりと書き込まれている。

「ありがとう。お父さん。」

 

質問の仕方が人生を変える。初級編

azuma-face200
あづまです。こんにちは。

上手に質問してますかー?

質問の仕方が、人生を決める。
まあそういうことを言うコーチやセラピスト、結構多いですよね。

私も基本、そうかな、と思っている方なんですが、ただ、いつも気になることがあります。

それは、他人への質問です。

他人に質問するときの作法というか、他人に質問するときに、うまく行く方法というか、そのあたりを、あまり考えたことがない人が多いのかな、って。

たとえば、彼がコッソリ浮気していた。そして、居所について小さな「ウソ」をついていて、それがあとでバレた、という出来事があったとしますね。

この出来事自体はショックなことですし、気持ちも乱れるでしょう。
(それ自体は、おかしなことではありません)

で、よく、彼に投げかけられる質問が、
「なんでウソをついたの?」

みたいな。

はい、ここで、この質問の良し悪しについて考えてみましょう。

私は、質問を投げるということは、相手に「自由に答える権利を与えること」だと考えています。そのような質問こそが、よい質問だと考えています。

この場面で、彼は「自由に答える権利」をもらったのでしょうか。
おそらく、よほど度量があって、本当に彼について知ろうと思って質問をした女性(そんなにいないと思いますが)以外、

実は「地雷がいっぱい埋まった質問」です。

という可能性が高いですよね。

自由に答える権利を与えるというのは、どういうことかというと、
彼が何かを答えたら、
「そうなんだね」って言って、その答えをちゃんと受け取る、ということです。

「なんでウソをついたの?」
→「君を傷つけたくなかったから」
→「そうなんだね」

「なんでウソをついたの?」
→「いつかちゃんと言おうと思っていた」
→「そうなんだね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・

って、言えないですよね!

そうなんですよ。

私たちは、質問をすべきでないときに、
質問をしていることがあるんです。

では、そういうとき、
本当はどうしたらいいのか。

これは、なかなか高度なコミュニケーションではありますし、私もそういう状況になったとき、急に出来るかといわれると、少々自信がない・・・気がしますが、まあひとつの理想形だと思って聞いて下さい。

大事なことのひとつ目は、
言うべき事があるときは、質問じゃなくて、ちゃんと主張する、ということです。

この場合で言えば、
「そうやって、ごまかされたことで、傷ついたんだよ!」
と、伝える、ということです。

大事なことのふたつ目は、
少し自分の内面で準備する必要があるのですが、
ひと言で言うなら「自問を終わらせる」ということです。

実は「何でウソをついたの?」というのは、自問の言葉なんです。

「なんでウソをつかれたのだろう?」という疑問が、自分の中で生まれて、そしてその問いを何とかしたいと思っている、そういう状態。

本来、自分の中で解決すべき問いを、そのまま相手に垂れ流すから、うまく行かないんですね。自分の中で解決すべき問いは、自分で解決しましょう。

それで、自分で解決するためのコツなのですが、実は、
一段高い視点に立って考えることが必須です。

「なんで嘘ついたんだろう」(と、私の中に疑問が湧いている)

という状況で、

「私にとって『なんで嘘ついたんだろう』という疑問が、なぜ重要なんだろう?」
と、疑問が湧いている状態自体を、さらに高い視点から、こうして問いにするんですね。

・・・なぜそこが重要なんでしょうね?

(人によって多少違いはあるでしょうが、大抵の場合、)それは、彼が私のことを「適当にごまかしておけばいい相手」と思っていたら、言い換えると、彼が私を軽く扱っていい存在と考えていたら、とてもショックだからです。

人によっては、これに似た、少し違う理由が出てくるかもしれません。いずれにしても、何か自分の中に自動的に湧いてくる「疑問」「質問」がある場合、「私にとって、なぜその質問が大事なのだろう?」と、少し高い視点から俯瞰してみると、ぐっと本質に近づきます。

今の例で言えば、私は彼から「適当にあしらっていい相手」「適当にごまかしていい相手」「軽く扱っていい相手」と思われることを、とても怖れていて、だから、「そうじゃないよね?」「そうじゃないよね?」と確認したくなって、

「なんでウソをついたの?」と聞きたくなるわけです。
と、ここまで分かったら、解決策は見えてきましたね。

まず、彼があなたのことをどう思っていようとも、
「私は、自分のことを、決して軽く扱ったりしない」
と、自分で自分を大切にすることを、ちゃんと決めること。
この、自分の中の、心の土台がしっかりしていれば、相手の一挙一動に振り回されにくくなります。

そして、彼に、疑問を投げかけるときも、もっと率直に、
「ウソをつかれるとね、「適当にごまかしておけばいい相手だ」って思われているような気がして、すごく嫌な気分になる。まさかそんなことはないと思うけど、なんでウソをついたの?」

と、言うことが出来ます。

「なんでウソをついたの」みたいな質問が地雷だってことは、なんとなく分かる人は多いと思うんですが、どうしてそれが地雷なのか、ではどうしたらいいのか、については、あまり説明されているのを見たことないですね。

だから、多くの人は、訊くことをやめて、心の中にしまってフタをしてしまう。
まあそれで、その場は荒れないで済むと思います。

でも、ちゃんと、自分にとって大事なポイントはココ(例では自分が適当にあしらっていい相手と思われているか否か)っていうことを、率直に伝えれば、実は、

「なんでウソをついたの?」ってほぼそのまま訊くことだってできるんです。
私を、適当にあしらっていい相手だと思っているのか、大事にしたい相手だと思っているのか、というニュアンスの質問に変わっていますけどね。(もちろん、良い変わり方です)

これでもし彼が「ホントの事なんて別に言う必要ないじゃん」とか「言ったら怒るでしょ?」とか、ちゃんと質問のポイントに対して答えない人だったら、かなりがっかりですが(まあしかし、別れる覚悟は決まるかもしれません)。

 

質問の仕方、初級編と書いた割には難しかったですね。失礼しました。

まあいきなり全部覚えてほしい、という意味ではないので。

私たちって、無自覚に相手に質問していることがあるよね、というお話。
今日はまず、そこに気づくことができれば、一歩前進で、OKです。

ではまた!

「教えて!浮気の治し方」Q&A集(受付締切)

azuma-face200あづまです。

「教えて!浮気の治し方」と題しまして、
11/20に広島市内でセミナーを行う予定なのですが、
連動企画として、浮気問題の解決方法に関する質問を募集します。(質問多数のため、11/14に締め切りました。ご了承下さいませ。)

質問を出してくださった方には、
回答集「教えて!浮気の治し方」Q&A集を差し上げます。

このPDF小冊子は、
まず、皆さまからの質問を集めまして、
(似た質問はまとめさせて頂くこともございます)

原則、一問一答形式で、質問に答えていきます。

ところで、質問を集めると、大抵
質問の仕方がうまい人と、ど下手な人に分かれますね。

上手な質問というのは、
自分がそこから一歩踏み出すきっかけになるポイントについて、
ちゃんと質問している、そんな質問のことです。

たとえば、状況として、結婚5年、夫は浮気をしているようだ。
まあ、細かい状況は省きますが、直接突き付けていない段階だとします。
(質問者は浮気をされた側、という設定です)

ここで、下手な質問というのは、こういうものです。
「男性はどうして浮気をするのでしょうか」
うん、それを知って、目の前の問題に、どう役立つのでしょうか?

ほかにも、
「浮気をやめさせるにはどうしたらよいのでしょうか」
上の質問よりは、だいぶマシですが、一般論しか答えは返ってこないですよね?

そうするとね、今度は、一般論じゃなくて、自分の状況に合わせた
答えを、相手に全部考えさせようとして、(つまり自分で考えることを放棄して)
「いま、こんな状況で、先日はああで、その前の週はこうで、浮気があったと
思われる日の夫の態度はどうで、あーして、こーして、・・・・」

予め言っておきますが、長文の質問は、私、読みませんから。
「あー、この人、自分で考えてないんだなー」というところだけ、受け取ります。
で、「あなたはどうしたいんですか?まずそこを決めて下さい。」
みたいな回答になるわけです。

長文の質問→あなたはどうしたいんですか?という回答
(ほぼ確定ですから)

では、どういう質問が、解決に一歩近づくための答えを引き出せる
質問、言い換えると「良い質問」なのか?

それは、主体性のある自分が、文の中に表現されている質問です。

少し具体的に、例を挙げて書いてみます。

まず、自分で、どう解決しようとしたのか、
自分で取り組んでみたところまでを、簡潔に書きます。
そして、どこで行き詰まっているのか。それも書きます。
行き詰まりと関係している「気持ち」も言葉に出来ると、パーフェクトです。

「夫の浮気問題には、おいしい食事を作って、毎日笑顔で過ごす、
それが一番です、と、あるサイトで読んだことがあって、
それをここ3か月ほど実践してきました。
でも、違和感があります。夫は罪悪感なく浮気しているように
思えるのです。上の方法って、妻が不機嫌オーラを出していて、
それで夫が外に安らぎを求めて浮気しているようなときに
有効なのではないですか? うちは・・・十分ではなかったかも
しれないけど、家の中は穏やかだったと思います。

次の行動として、やっぱり突き付けるかどうか、そこで迷って
います。でも、このまま、毎日苦しい気持ちでずっと過ごすのは
無理だと思います。」

問題に対して、自分は、どう考えたのか。
そして、解決のために、どんな行動をしてみたのか。
あるいは、どんな行動が、やろうと思ったけどできなかったのか。

つまり、問題解決の当事者であり、責任者である自分が、
文章の中に、表現されていますよね? そこに自分がいるの、ちゃんと。

上の方の質問を見返してみて下さい。
そこに、自分がいないでしょ?

一般論を質問していたり(そもそも自分がいない)、
自分の判断を放棄していたり(「主体的な自分」がいない)、

自分がどう考えて、
どう行動して、
そして、
どこで、行き詰まったのか。
(行き詰まりは、恥ではありません。難しい問題は、壁に当たることなんて、よくあります)

そんな風に、問題を何とか解決しようと奮闘している、
自分自身が、質問の中に表現されている。

あづまは、
「質問文の中に、自分がいる」と言っていますが、

そういう質問が、いい質問です。

もちろん、いい質問以外、回答しませんよ、ということではありません。
どの質問にも、答えられる範囲で、真剣に答えようと思っています。

でもね。
質問がズレていると、答えもぶれるんです。

せっかく質問したのなら、
何か、解決に役立つ答えを得たいですよね?

ぜひ、質問文の中に、主体的な自分自身を表現して下さいね。

 

さて、この企画ですが、
本来、「自分が浮気してしまう」人の浮気衝動を、
どう、自分自身で、手なずけていくのか。

セミナーのテーマが、そっち方向なので、
浮気衝動のコントロールで悩んでいるご本人様からの質問を、
優先的に扱います。

どの質問も、大事に扱う予定ではありますが、
浮気衝動のコントロールで悩んでいる本人からの質問、
浮気症のご本人からのご質問は、

より、紙面を割いて、しっかり扱いたいと考えています。

もちろん、いま、パートナーが浮気をしていて、
浮気衝動のコントロールのポイントを知りたい、
そして、パートナーという立場から、実践できることを知りたい。
(つまり、浮気された側からの解決策を知りたい)

という方向のご質問も、歓迎いたします。

関連記事が今回のセミナーの共催者 武田宏美さん(と夫さん)の
Facebookにも上がっています。ページはこちら

質問は、このブログのコメントには書かないで下さい。
ルールを守らない人への回答はいたしません。

質問文は、専用フォームを用意してありますので、
そのフォームから、お願いします。

また、そのときに入力されたメールアドレスに、Q&A集が完成したときに、
お届け(PDFファイルです)しますので、メールが届くようにしておいて下さい。

質問の受付締切ですが、講座の前には締め切ってまとめに入りたいので、11/16頃に一旦締め切る予定でいます。大変多くの質問を頂き、私も必要な情報は得ましたし、回答できる限界を超えそうなので11/14に締め切らせて頂きました。質問を寄せて下さった皆さま、ありがとうございます。

「教えて!浮気の治し方」セミナー@広島、はこちら。

石割山に登ってきました

先週の金曜日に、夫婦で石割山に登ってきました。
どこ? えと、山中湖のそばに登山口があって、頂上から富士山が見えるところです。

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いきなり超長い階段で出鼻をくじかれる気合が入ります。

やっぱり富士山の周りは神さまがたくさんいるんですかね(まあ私は合理主義な人なので、人がそういう意識を持つ、という意味で言っていますが)。
この大岩がご神体だそうですが、石割神社、なかなか壮観です。

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残念ながら石割山の山頂では、雲に隠れて富士山が見えませんでしたが、そのあと、尾根伝いというか下りなんですが、次の山まで行きまして、その、平尾山では、富士山の姿を拝むことができました。

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紅葉はイマイチまだっぽかったんですが、ススキがたくさん生えていて、すでに秋、な感じになってました。

富士山周辺を歩くと、来年に向けて気合が入りますね。

ではまた!

最近浮気を治す相談が増えています。

carpvsbaystarsこんにちは。心のコンサルタント|恋愛セラピスト あづまです。
画像は先日横浜スタジアムに行ったときの写真で、本文とは関係ありません(^^ゞ

心理学系の記事を投稿するのは少し久しぶりになりました(^^ゞ

最近、よくある相談が、
結婚から十年以上、中には三十年以上という方もいらっしゃいますが、
浮気問題を起こしてしまって、

その、ご本人が相談にいらっしゃるというパターンですね。

浮気問題を起こさないようになりたい、という。

世の中のカウンセラーの人たちって、
浮気は治りませんとか断言している人、結構いませんか?

私の感覚で言うと、
え?そうでもないけど?
対応可能で、良くなる人も結構多いですよ?

という感じなんですよね。

もちろん、本人も、奥さまも、
しっかり取り組みを続けていく必要はありますけど。

ただ、私も、甘いことだけは言わないです。

「正直、今のあなたに、やり遂げられるとは思えない。」

みたいな厳しい苦言を言うこともあります。
ここで、甘いこと言って、ミスリードしてしまうのは、やっぱりコンサルタントとしては恥ずべき事だと思いますのでね。

優しくすべきか、厳しくすべきか、みたいな軸では考えていないです。
相談者の様子やこれまでの行動、そして精神的な成熟度を読み、
そして、どんな動機で、取り組みたいと言っているのか、そこもしっかり見極めます。

とくに、動機の中で、ダメなヤツが「自分が楽になりたいから」というもの。
その動機の場合、結局、ある程度イバラの道になる、浮気問題発覚から本気でぶつかり合って、夫婦再生を目指す、という道は踏破できませんから。だって、途中で、自分が楽になりたいだけなら、別れた方が楽だって分かってしまうから。

それでも、今の相手を大切と思い、何とか再生を目指す、その意義を感じているのかどうか。そこまで動機を厳しく問いますね。いや、言い方は厳しくはないんですが、本当に大丈夫かな?と心配して、動機を色々聞く、という感じですかね。

でも、

最近では、ありがたいことに、
浮気問題を起こしてしまった、というご本人様からの相談も、結構頂いています。
いや、結構、というか、現在の一番多い相談がそれになっています。

浮気問題を起こしてしまったご本人の取り組みについては、
また機会を改めて、概要などは、どこかで記事にしようかと考えていますが、せっかく書き始めたので、ポイントをひとつだけ。

自分がストレスをためていることに気づくのが遅い人が、浮気問題を起こす傾向があります。だから、自分の状態に敏感になることが、とても大事なんです。

ではまた!