性癖を直す(終)|恋愛ドクターの遺産第2話

第六幕
ゆり子はノートを閉じた。
(私は、みきさんのように「この人」と思い続けられるのだろうか。)ゆり子は思った。自分はみきさんのように、浮気されても相手のことを思い続けるなんてできないような気がした。
はぁ。ため息が漏れた。ゆり子は考えていた。私は本当に、主人のことを愛しているのだろうか。それとも、私にとって利用価値があるから一緒にいたいと思っていただけなのだろうか、と。

ここでゆり子はハッと我に返った。以前なら、このまま自分は本当に愛しているだろうか、ちゃんとできているだろうか、本当に頑張っているだろうか、と自分を責めたり、自分を追い込むような考えがぐるぐるめぐって、どんどん暗くなることがあったが、このノート「恋愛ドクターの遺産」を読むようになって、とくに前回ノートを読んだ後に見た夢の中で「ゆるしのワーク」が起きたからなのか、最近はこうして自分を責めるモードから我に返るのが早くなった。
ほんと、不思議な小説だなぁ。ゆり子は思った。未だに読まれている古典的小説というと夏目漱石の「こころ」と太宰治の「人間失格」が双璧だそうだ。でも、あのような典型的な文学を読むとゆり子は苦しくなった。無理やり自分の内面の「汚いところ」と向き合わされている気がするからだ。文学は「肩の荷を背負わされる小説」、恋愛ドクターの遺産は、「荷物を下ろさせてくれる小説」そんな気がした。

自分を責めすぎても暗くなるだけで、あまりプラスにならないな、そう思い直したゆり子は、今度は、自分が今の夫を選んだ理由について考えをめぐらせていた。
(私はどうして、幸雄さんを選んだのだろう?)

そんな風に考えていて、心に浮かんできたのは、ゆり子もノートの中のみきさんと同じように、年齢は中学校の頃だったが、学校でいじめられたことだった。誰にも言えず、しばらく毎日耐えていた。それに、いじめというのは、真綿で首を絞めるように、じわじわと始まり、気づいたときにはずいぶんダメージを受けているものなのだ。当時、親に相談して、担任も動いてくれて、それで問題は解決に向かったのだが、我慢した期間と、解決まで少し時間がかかったのとで、結局半年ぐらいは、ゆり子はいじめに苦しんだ計算になる。

(私、誰かに守ってほしかったんだ)ゆり子はふと気づいた。そうだ、自分は誰かに守ってほしかった。幸雄さんとの出会いは、大学時代のサークル活動で、だったが、ゆり子が周りのメンバーから、誤解に基づく中傷を受けそうになっていたときに、「証拠もないことで彼女を責めて、お前ら、後で間違いと分かったとき、ちゃんと今言ったことの責任を取るんだろうな?オレは誰が何を言ったか、今全部記憶したぞ。」と言って守ってくれた。そして実際「後で間違いと分かった」のだった。
その一件があって、ゆり子は幸雄さんに心惹かれるようになったのだった。

そのことを思い出したら、両目に熱い涙があふれた。そうだ、私は幸雄さんの強さに惹かれたんだ。守ってくれたから、本当に感謝していたんだ。

ただ、そのことは事実だが、共感力のない夫のおかげで結婚生活が苦しかったのもまた、事実だった。戦う場面ではとても頼りになるけれど、平和な世界の中では、いい話相手になってはくれないのだ。

「やり直した方がいいのかなぁ。でも、続けていく自信、全然ないなぁ。」
ゆり子はつぶやいた。
第二話 終

第三話以降も続きます。
第三話は、結婚できない、という女性の相談です。彼氏がなかなかできない、結婚できない、という問題は、原因が多岐にわたるため、実際の相談でもその「謎解き」に難儀します。謎解き力の低いカウンセラーだと間違った解決策に導いてしまうことも・・・

そんな「難問」を、恋愛ドクターは一体どう解決するのか・・・お楽しみに。

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