呪い(15)|恋愛ドクターの遺産第9話

迷走気味の議論を見て、ドクターが割って入った。「ええと、ある症状が発生している場合、あるいは複数の症状が同時期に発生している場合、その根本原因は、まずは一個と考える、というのが問題解決の基本です。」

「一個、なのですか?」なつをが訊いた。
「なつを君は、答えを聞こうとしているのですか?」
「あ、いやいや、そうじゃなくて、一個と考えるのが基本、ということを確認したかったのですが。」
「ええ、基本は一個と考えます。そして、一個で説明が付かないときに初めて、二個であると考えて推論します。」

私なつをは混乱した。幻覚を見ている、そして、頭痛に襲われる。吐き気がする。原因が一個だ、と言われると、分からなくなってしまった。

「ここで少し、考え方の基本を整理しておきたいと思います。」ドクターが言った。「彼女の症状に似ている例を使うとネタバレ、というか答えが分かってしまうかもしれないので、全然違う例を挙げて説明しますね。ある女性が、(1)やらなければいけない仕事が多すぎる。(2)家に帰っても非協力的な夫や高圧的な姑がいる(3)毎日がもうイヤになって死にたくなる、というみっつの症状・・・人間関係の問題も含めて「症状」・・・に悩まされているとします。それぞれの症状に対してバラバラに原因を考えるのではなく、同じひとつの根っこから、一見バラバラに見える複数の症状が現れているとしたら、根本は何だろう、と考える、ということを、まず最初にやるべきだ、と言っているのです。」

「つい、それぞれについて、ありそうな原因を考えてしまいますね。」なつをがつぶやいた。
「そうですね。でも、始めにすべきことは、共通の根っこが何かあるのではないか、と考えることなのです。ちなみにこのケースは架空のケースですが、この女性が『自己否定的な考え方をしている』というのが根っこになります。」
「自己否定的だと、どうしてそうなるのですか?」なつをが訊いた。
「まず、死にたくなる、という症状が出る場合には、大抵自己否定があります。問題が起きた時に他人のせいにしている場合は、余計な行動をとって周りを混乱させることはあっても、自分を消そう、そこしか逃げ場がない、という風にはなりにくいものです。やらなければいけない仕事、というのも、職場で『断れない』あるいは『誰もやろうとしないが、誰かがやらなければいけない仕事を自らやってしまう』などの形で、無意識に引き受けている仕事が多いんですね。責任感が強い人に多いのですが、責任感は罪悪感の裏返しです。罪悪感は、そう、ある種の自己否定ですよね。また、このような自己否定的な思考の人は割と、他者否定、つまり他人に責任転嫁して、仕事を押しつけるようなタイプの人とカップルになりやすいのですが、こうして非協力的な夫を引き寄せた可能性は非常に高いですね。」
「なるほどー。」ナタリーが一段と高い声で言った。

(つづく)

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