なつをの夏の物語(16)|恋愛ドクターの遺産第10話

「いまやってみたのが、その三点セットです。私から意外な方針を提示された。これが体験。そのあと、色々頭の中で考えた。そして感情が出てきた。今回の場合不安や落ち着かない感じでしたね。」
「はい。」
「こういうことを、日頃から自覚するようにすると、自分のことがよく分かるようになります。そして、自分で自分のことが分かっていると、他人に説明するのが上手になります。そして、うまく説明できると、他人も、結構話を聞いてくれるものなんです。」
「それがね、引き寄せのコツなんだって。」湯水ちゃんが楽しそうに言った。
なつをは、まだ不安そうだ。
「まあ、急に他人に上手く説明するところまでやらなくて大丈夫です。まずは、『体験した出来事』『自分の考えや解釈』そして『出てきた感情』の三点セットを意識して過ごすようにしてみてください。」
「慣れないうちは、紙に書いてみるのもいいよ。私はそうやって練習したから。」湯水ちゃんが補足した。
先輩がいるのは頼もしい。なつをは見習おうかな、と考えた。「はい。初めはそうやって見たいと思います。」

こうして、2年前のセッションは終わった。
その後、なつをは、自分の気持ちを表現することを大事にして過ごすようになり、以前よりも「好き」「嫌い」を表明するように行動を変えた。
そのことで、長らく付き合いのあった友達の何人かは「あんた最近ワガママになったね」と去って行きそうになり、焦って引き留めそうになった。そのときにドクターから「人間関係のデトックス」が起こるということを思い出したのだった。そうかこれが、話に聞いていた人間関係のデトックスか。なつをは他人事のようにそう捉えていた。ドクターからの助言・・・というより予言・・・を予め受けていたので、なつをはパニックになることもなく、自分の元から友達・・・いや、友達と思い込んでいた他人・・・が去って行くのを、落ち着いて見送ることができたのだった。

人間関係のデトックスが済んだあとは、空いたスペースに、また新しい人間関係が入ってくる、とドクターからは聞いていたのだが、そうなるまでは少し時間がかかった。半年ぐらいして徐々に新しい友達もでき、新たな人間関係を築いていった。

そんなある日、古くからの男友達から飲み会のお誘いがあり、行ってみることにしたのだった。その飲み会の席で話が合う男性と出会い、連絡先交換から現在の比較的親しい関係にまで至ったのは、既にドクターに語ったとおりだ。但し、どことなく彼との距離があって縮まらず、そこがこれからの課題なのだが。

なお、その飲み会を企画してくれた男性に、なつをがあとから聞いた話だが、以前のなつをはどことなく警戒心が強くて自分を開かないように見えていたとのこと。それは、頑なに見えるとか、人を寄せ付けない感じというのとは違っていて、相手に従うし、上手く合わせるけれど、本心からそうしたいと思ってしているのか、そこが分からない。つまり本心が見えない、というような感じだったそうだ。それで、あまり飲み会のメンバーには誘わなかったのだが、久しぶりに会ったときにずいぶん自分を開くようになったと感じて、今ならいい出会いが作れるかも知れないし、カップル成立となったら相手の男性もきっと幸せだろうと思って、初めて飲み会に誘ったのだそうだ。そんなことまで考えて飲み会のメンバーを集めている彼もなかなかのやり手(?)だと思うが、彼の思惑通り、その飲み会でいい相手を引き寄せたなつをも、「分かりやすい」キャラだ。

そして、そんな経緯でいわゆる「友達以上恋人未満」ぐらいの距離まで接近したなつをだったが、どうにもそこから進まず、戸惑っている。そして、取り返しが付かないことになる前に(というのは少し心配性が過ぎるのだが)相談に来たのであった。

(つづく)

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