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婚難(3)|恋愛ドクターの遺産第3話

第三幕

「失礼します。」そういってドクターが入ってきた。髪は短めにさっぱりとまとめているが、それほどおしゃれではない。白衣を着て、眼鏡を掛けている。眼鏡は縁の細いおしゃれな眼鏡だ。

「遅れてしまって申し訳ない。どうしても外せない用事がありまして。先に色々質問をしてもらってたんです。」ドクターが言った。
「いえ。なつをさんと楽しくお話しさせて頂きました。」かおりが答えた。
ドクターはなつをの方を見た。
「いえ、ふつうに質問票にある質問をしていただけです。わたしのとちりキャラが面白かったみたいで・・・」少し焦りながらなつをは言った。
「そうですか。楽しんで頂けたようでなによりです。」少しニヤニヤしながら、ドクターはかおりに向かってそう言った。

そして、急に真剣な顔になって、ドクターはなつをの記録した質問票を手に取った。「なるほど。」

「美人なのはいつからですか?」
「へっ?」
「あぁ、唐突な質問、失礼しました。でもこれは、まじめな質問です。おそらく、顔立ちからして、子供の頃から整った顔をしていらっしゃったのだと思うのですが。」
「・・・はい。わりと『綺麗だ』とか『美人だ』と言われることは多かったと思います。私自身は親しみやすい『可愛らしい』顔に生まれたかったのですが。」
ドクターは、分かる分かる、といった風に、ゆっくりと何度かうなずいた。
「なるほど。やはり子供の頃からですか。」やはり美人顔がいつからなのか、それは気になるらしい。

「先生、それ、彼女の問題と何か関係あるんですか?」
「ありますよ。おそらく。まだ聞きたいことがあるので、なつを君は少し静かにしてもらえますか?」
「すいません。」

ドクターは再びかおりの方を向くと、質問を続けた。
「えぇと、肩書きというか職業が『司法書士』さんだと言うことですが・・・」
「はい、以前からお世話になっていた経営コンサルタントの方のオフィスで、会社設立の登記などの法律業務を担当させて頂いています。」
「なるほど。ちなみに資格を取られたのはいつ頃ですか?」
「ちょうど7年前ぐらいです。」そう言ってかおりはハッとした表情になった。
「7年前は、色々ありました。彼と別れたのもその頃でしたし、資格試験で大変だったのも、その頃でした。」
「色々大変だったんですね。そして、7年前というのは、何か重要な転換点にはなっていたようですね。」
「はい、そう思います。」
「なかなか彼氏ができない理由。まずひとつは見つかりました。」
「はい。それは何でしょうか?」
「かおりさんが美人だからです。」

「えっ?」
「えっ?」
なつをとかおりが同時に声を上げた。

なぜ、美人だと彼氏ができないのだろう。不細工だと出来ない、というのなら、失礼な話ではあるが、話は分かる。なつをは思った。でも、いま、先生は明確に「美人だから」と言った。それにかおりさんは実際に美人だ。それが彼氏ができない理由とは・・・先生は時々私に理解できないことを言うが、今回もそうだ。

(つづく)

婚難(2)|恋愛ドクターの遺産第3話

第二幕

「えぇと・・・かおりさん。」
「はい。」
「こんにちは。」ややぎこちない感じで、なつをが挨拶をしている。
「こんにちは。」様子見をするような感じで、かおりも挨拶をする。
「今日は、ドクターAは、少し用事で出ておりまして、ご連絡しましたとおり、一般的な質問につきましては、私なつをがさせていただきます。」
「はい、伺っております。」
そう、今日は先生が多忙のため、私が予めいくつか質問をして、事前に情報収集しておくように言われているのだった。ある意味、カウンセリングの一部を任されているわけで、とても緊張している。

「えぇと・・・かおりさん。」
「はい。」
「彼氏がなかなかできない、という問題だと伺っておりますが、いないのは何年ぐらいになりますか?」
「7年ほどです。」
私は、ドクターから受け取った質問票に書き込みながら質問をしていった。
質問をしながら思った。いつも、先生はとくにメモをするわけでもなく、どんどん質問をして、どんどん話を進めていくけれど、それでも、ポイントを外すことは、ほぼない。それがいかに難しく、すごいことなのか、自分で相談者を前にして話を聞いてみるとよく分かる。メモを取るペンが、指先のイヤな汗で少しぬるぬるしている。
私は頑張って質問を続けた。
「その後、恋人を作るための取り組みなど、何かしてみたことはありますか?」
「えぇ、何人かの友達や同僚、男性も含めてですが、意見を聞いてみて、どうやら私は女らしくしていないというイメージらしかったので、ファッション雑誌を買うようにして、服の選び方とか、お化粧の仕方とか、女性らしくするように努力しました。」
「そうなんですね。いまはお綺麗ですよ。」
「ありがとうございます。」かおりは少し照れながら言った。「でも以前はざっくりとした洗いざらしのシャツにGパンにすっぴん、て感じで、スカートをはくようにしたのも、その頃からなんです。」
「・・・そうなんですね。」なつをの受け答えがまだぎこちない。メモを取っているとどうしても間がおかしくなってしまう。

「ご自分で、この問題について、原因を考えたり、解決のための取り組みをしたことはありますか?」やや棒読みになりながら、質問票にそってなつをは質問した。
「はい。先ほども申し上げたとおり、女らしくないことが原因だと、知人から指摘されましたので、その点については、女性らしい服装や振る舞いをするように、努力をしてきました。ただ、それでも、その後、恋人ができないので、最近ではインナーチャイルドの課題が何かあるのかな、と考えることもあります。」
(えと・・・本人が分析を述べたら、「もう少し詳しく教えてください」と言って、さらに聞き出すように・・・と書いてあるな・・・)なつをは質問票にある、先生からの指示を黙読して、次の質問を心の中で準備した。
「そのことを、もう少し詳しく教えてください。」
「はい。」かおりは話し始めた。
「先生のご著書や、ほかの心理学の本を読んだりして、色々勉強させていただいているのですが、そうすると、恋愛でうまく行かない背景には、子供時代の生育環境の影響がある、と、大抵書かれています。私自身も、子供時代に、両親が商売をしていまして共働きでしたので、寂しかった思い出はかなりありますし、何か、いまの恋人ができない問題と関係あるような気がしまして・・・」
「なるほど。そういうことなんですね。」なつをはメモを取るのに必死だった。
(とても頭の良い方のようだ・・・そして、しっかりと考えていらっしゃる。私、ちゃんと記録できているのだろうか・・・)なつをは理路整然と自分の問題について話すかおりに気押されて、また体中にイヤな汗をかいていた。

ふう。先ほどの質問に関するメモを取り終えると、なつをが深呼吸をして、次の質問に移った。
「お仕事は、何をしていらっしゃいますか?」
「仕事は、企業コンサルタントの会社で、司法書士をしています。コンサルティングは主に社長を始めとしたメンバーが行っていて、私は会社の設立登記などの法務を主にやっています。」
なつをは、メモを取りながら上目遣いにかおりをちらっと見た。
(結構やり手なんだ・・・キャリア系女子かぁ)
そんなことを思いながらメモを取るペンを走らせる。
「あ・・・なるほど、そうなんですか。お仕事はお忙しいですか?」
「そうですね。ずっと忙しかったんですけど、最近少し、後輩に仕事を任せたり、適度に手を抜いたりすることを覚えまして、少し自分の時間もとるようになりました。」
「えぇと・・・先生から、仕事が忙しい人の場合質問して下さい、と言われているんですが・・・」
「先生、なかなか先読みする人ですね。」かおりはそう言ってクスッと笑った。
「いや、ほんと、そうなんですよ。先に何でも分かっているような、そんな雰囲気で、でも実際、本当によく分かっていることも多くて、どこまでが本当でどこまでがハッタリだか分からないことも・・・あ、すいません、しゃべりすぎました。」
あー、これ、先生が聞いてたら怒られるだろうな。なつをは思った。クライアントが自分の話をするのがカウンセリングの時間。カウンセラー側は関係ない自分の話をしてはいけない、といつも言われていたのに、つい余計なことを口走ってしまった。
「なつをさんって、面白いですね。」かおりは一気に表情がほころんで、楽しそうな笑顔になった。
(まあ、緊張はほぐれたし、結果オーライかもしれない)なつをは思った。
「ご質問は、なんでしたっけ?」
「あぁ、すいません。ふたつあって、ひとつ目が、『仕事が忙しくなった頃と、彼氏ができなくなった頃は、同じ頃ですか?』もうひとつが、『お姉さまに頼りたい年下男子、みたいな男性が寄ってくることは、ありますか』です。」
「えぇっ」かおりは笑いながら言った。「お姉さまに頼りたい年下男子・・・って、確かにそういう子が寄ってくること、割とありましたよ。学生時代からかな。でも私、そういうの趣味じゃないんで、いつも断っていました。」
「はい。」なつをは必死でメモをしていた。
「なんか、なつをさんって、かわいいですね。あ、失礼だったらすみません。」
かわいいと言われて、なつをはなんだか恥ずかしくてからだが熱くなった。さきほどから緊張がほぐれて、やっと乾いてきた指先も、また少しぬるぬるしてきたような気がした。
「ええと、もうひとつ、なんでしたっけ?彼氏ができなくなった時期と、仕事が忙しくなった時期・・・ですよね?」
「えぇ。お願いします。」
「社会人になってから、わりとずっと忙しかったので、時期が一緒かどうかはよく分かりません。学生時代につき合っていた人と、27歳頃に別れてからは、その後ご縁がなくて、今に至る、という感じですね。」
「はい。メモメモ・・・っと」

忙しくなった時期と、恋愛のパターンが変化した(この場合は彼氏ができなくなったという変化だ)時期が同じかどうかを聞くのは、専門用語では「共変関係」と言う。ふたつの出来事が共に起きるようになり、また、共に起きなくなるとしたら、そのふたつには関連がある、と考えるのだ。恋愛相談の場合、好きとか嫌いとか、感情の話が多く、結果、論理的にあいまいな話が多いため、明確にAとBが相関しているかどうか、ということを見つけることが難しい。そんな中で、ドクターが苦心して考えたのが、出会いと別れの時期(これは本人が明確に覚えていることが多い)を訊く、というやり方だ。
但し、こうした、明確に答えられる事実を質問するだけでは、恋愛の問題は解決しない。
ロジカルシンキングは車で言えばハンドルみたいなもの。ロジカルのないカウンセリングは迷走する。但し、アクセルではない。感情、気持ちを扱う部分がアクセル。だから、ロジカルなだけのカウンセリングは、まったく先に進まない。いつか先生が言っていた。

ひととおり、なつをがかおりに質問をし終えたところで、ノックの音が聞こえた。ドクターが帰ってきたのだ。

(つづく)

婚難(1)|恋愛ドクターの遺産第3話

【登場人物】
(現在の人物)
ゆり子 父からノートをもらった。離婚するかどうか悩んでいる
幸雄 ゆり子の夫。 仕事はできるが共感力のない人。
(ノートの中の人物)
恋愛ドクターA ゆり子の祖父(故人) ノートを書いた本人
なつを ドクターの助手
かおり 相談者。彼氏いない歴7年 個性派の女性

 

第一幕

「はぁ。幸雄さんの気持ちわからないなぁ。」ゆり子はつぶやいた。
そう、恋愛ドクターの遺産(レガシー)。そのノートを読んでいろいろ考えていたのだった。
そして今、もう、一度は離婚しかないと決めた決意がまた揺らいでいるのだった。

これまで幾度かノートを開いて、ゆり子はそこに登場する女性たちの勇気がある姿に心動かされてきた。「この人たちはなんて強いんだろう」とゆり子は自分の結婚生活への向き合い方をもう一度考えてみようと思った。
「あー、今恋愛ドクターのおじいちゃんが生きていたらなぁ。カウンセラーに相談しながらだったらもっと私も勇気を持てたのかもしれない。」ゆり子がそんなことを考えていた。

「おじいちゃん」独り言のようにゆり子は言った。おじいちゃん生きていたらなぁ。。ゆり子が急におじいちゃんに会いたいそんな気持ちになった。
「またノートを開いてみようかな。」
ゆり子はノートの束を手に取り(父から段ボール箱でノートをたくさん受け取っていたのだった)、その中から1冊のノートを手に取った。そしてまたゆり子はそのノートを開いた。

・・・

「今日のテーマは、インナーチャイルドの課題と、恋愛の問題についてです。」
ホワイトボードを前にして、ドクターが語り始めた。恋愛ドクターの異名を取るAは、恋愛や結婚生活など、男女問題専門のカウンセラーだ。男女問題は心理のデリケートな動きが大きく影響する分野で、専門家でも原因の推定が難しかったり、誤解に基づいてアドバイスしてしまったり、という間違いの多い領域だ。
その分野で、専門家として有名なドクターの恋愛講義である。多くの人が貴重な話を聞こうと聴講に訪れている。会場にはざっと150名以上の聴講生・・・ほとんどが大人、それも40代以上に見える面々だ・・・おそらくはカウンセラーだろう・・・が座って講義を聴いている。

「恋愛の問題は、表面的に捉えると、本質を見失うことがあります。たとえば、ある女性が、恋人からの暴力を受けている、というケース。法律的にいえば暴力を振るった側に責任があります。もしあなた方が警察なら、彼を逮捕しなければなりません。そこには全く異論はないのですが、では、恋人を逮捕したらこの問題は解決するのかというと、そうではありません。このような女性は、その彼と別れてもまた、別の暴力的な男性と交際するというパターンを繰り返すことがあります。そして、その大もとをたどっていくと、子供時代に、家庭環境が暴力的であったことに行き着くことも、少なくないのです。」

今日もいつも通り絶好調だな、なつをは最前列右端で先生の話を聴きながらそう思った。先生は大抵、生々しい話・・・それが本題なのだが・・・から入る。あまり、前置きなどの工夫はしない。今日も、講義開始早々、核心に触れる内容に入っている。講座の出席者たちも、真剣な顔で聴き、また、メモを取っている。

「このように、子供時代の生育環境の影響がベースになり、大人として生きていくのに支障があるとき、『インナーチャイルド課題がある』と表現します。そして、恋愛は、非常に軽いインナーチャイルド課題・・・そうですね、仕事や知人との付き合いなどの、少し距離のある人間関係では問題として表面化しない程度の、軽いインナーチャイルド課題でさえ、問題の原因となることがあります。だから、恋愛の問題を考える時には、必ず、慎重に、インナーチャイルド課題について扱う必要があるのです。」

「たとえば、先ほどの、暴力的な男性との交際を繰り返してしまう、という女性のケースでいえば、子供時代に自分をしっかり守ってくれる両親の存在、そして、この世界に正義の原則がある、ということを教えてくれた存在・・・これも両親や先生などですが・・・が希薄だった場合に、こういう問題が起こりやすいことが知られています。」

先生の話は、いつも正確だ。なつをは話を聞きながらそんなことを思っていた。「言葉は正確に使う」が先生の理想だし、公言もしている。先生は言葉を象徴的、あるいは比喩的に、拡大解釈して使うやり方を「文学的表現」と称して、やや見下している嫌いがある。先生の言葉の使い方は、むしろ、科学者のそれに近い。先生の話は続いている。

「自分を守ってくれる存在を、身近に体験できずに育った場合、自分の中に正義の基準・・・たとえば、相手の気持ちを踏みにじって自分の主張を通すのは良くないこと、というような道徳観などがそれに当たりますが・・・そういうものが十分育たないで大人になってしまう、ということが起こります。すると、そのような女性がモラハラ傾向がある相手に出会っても、『その言動、おかしい!』と、自分の正義の基準に照らして判断することが、うまくできないのです。そして、なんとなく、その場の空気を壊さないように、その場が荒れないように、相手の機嫌を取って、という行動をしてしまう。その結果、暴力的な、問題のある相手に好かれてしまったりするわけです。自分の好き、嫌い、そして自分の中にある正しい、正しくないの基準を、きちんと相手に表現できないと、自分はいやだと思っているのに、相手からは好かれている、というようなひずみが生まれてしまうのです。」

「このような、インナーチャイルド課題を解決せずに、法律的な見地のみで問題解決を図るならば・・・即ち、暴力を振るったという『事実』だけを見て、相手の『行動』だけに責任を求めるという意味ですが・・・本当の意味で、問題は解決しないのです。」

(つづく)

愛とロマンスが広がるーワークショップ ソッコー満席に。

あづまです。

愛とロマンスが広がる! 飽きないパートナーシップを手に入れる方法 ミニワークショップ@広島

広島初開催ということで、色々心配もしていたのですが、過去最速かという勢いで売り切れました。これまたびっくりですね。

これであとは、(やりたい内容の概要はもう決まっていますが)細かい講座内容の詰め作業ですね。いい講座にするために、がんばります。

広島行きは楽しみになってきました♪

ではでは!

愛とロマンスが広がる!飽きないパートナーシップを手に入れる方法 ミニワークショップ

来る8/9(火) 広島でセミナーをやります。

題して、
「愛とロマンスが広がる! 飽きないパートナーシップを手に入れる方法」
ミニワークショップ。

「飽きない」の「あき」と広島の「安芸」が実はかけ言葉になっているという工夫を入れたタイトルになっている、というのはきっと地味すぎて誰も気づいてくれないので、自分で言ってみました(笑)

今までも開催してきて、好評を頂いております、三部構成のミニワークショップ。
第一部が知識、第二部が設問に応じて自分で考えたりちょっとしたミニワークを行って、知識を自分事に落とし込むパート、そして、第三部ではオープンカウンセリング形式で、具体的な悩みを扱います。これでさらに、知識という骨格に、血肉が付くことになるでしょう。

カップル参加はお得になっています。

詳しくは、こちらのページを御覧ください。

ではでは!

相談回答:避妊を嫌がる彼に結婚を迷っています

こんにちは、心のコンサルタント|恋愛セラピスト あづまです。

今日は、Mさんのご相談「避妊を嫌がる彼に結婚を迷っています」

というテーマについて、ご回答します。

このテーマ、表面に現れているのは避妊ということですけど、その奥にどんな心理が潜んでいるのか、そこに切り込まないと、問題も理解できないし、解決策も出てこない、深いテーマだと思います。

続きを読む

いま、なぜ、美なのか〜内側から輝く秘訣(第5回目公開)

こんにちは。

心のコンサルタント|恋愛セラピスト あづまです。

何歳からでも美しくなれる! 目覚めよ!内なる輝き講座
開講記念、無料動画講座。
期間限定なので(講座終了後、動画公開も終了)
早めに見てね♪

(現在、パート1からパート4まで公開)

第1回目は、なぜ今「美」なのか〜内なる闘いを終わらせる までをテーマに語っています。

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GW中のできごとと、結婚相手の選び方

あづまです。
GW中は、実は、家の片付けを、主にやってました。

結婚10年。
時代の重みが(うそうそ)、溜まった不要品が山のように出てきました。

結婚相手に求めるものは、色々あると思うんですが、
こういうときに、一緒に同じことにとり組んで、終わったら一緒にガッツポーズ(というか「お疲れ!」)ができる相手、と言いますか、チームメイトですね。

そういうことが大事なんじゃないかと、改めて思いました。

明日は、運命の相手にだけ出会う恋愛心理学ワークショップ@札幌。

未来のベストパートナー探しを目指している方のサポートのお仕事です。
気合入れていきます!

(写真はビジネスホテルの部屋で鏡に映った自分を自撮り)

自分を知っている、ということ。

あづまです。こんにちは。

先日、友達の結婚お祝いの会に(仕事で残念ながら欠席だったんですが)ちょっとだけ乱入してきました。

「彼のいいところは」という質問に対して、
「自分自身のことをよく分かっているところ」

という回答が、大人の回答だなーと思って感心して聞いていました。

結局、長続きする夫婦関係も、
いや、実は安定した職場の人間関係も、
長続きする安定した友人関係も、

それぞれの個々人が、「自分自身のことをよく分かっている」ことが、とても大事だと思います。

欠点を直す、のではなく(いや、若いうちは直す努力も大事だと思いますが)、

私はこういう状況ではこう反応してしまう。だから自分の悪い面が暴発しないように、どうするのか。
私は好きでついつい○○をやってしまう。だから自分のその面を「うまく活かす」仕事に就き、自分を輝かせよう。

自分をちゃんと知って、自分のことを相手にちゃんと伝える。

これって、あらゆる人間関係の基礎ですね。

そんなことを思いました。

ではまた!

婚外恋愛について反論が来ました。であづまはどう答えるのか?

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Photo by Yasushi Azuma

あづまです。こんにちは。

先日、夫公認で妻が婚外恋愛。それをあづまが円満夫婦と呼ぶ理由。 という記事を書きまして。
それに対して、反論が来ました。

短文なので、全文載せておきます(編集なし)。

仮にSさんとしておきます。女性の方だと思います。

はじめまして。
どうしても一言お伝えしたくメール致しました。

婚外恋愛は、倫理に反します。
どんな理由があっても、今の日本の社会倫理と結婚制度では倫理から外れています。
たまちゃんだかなんだか分かりませんが、人前にだけは出さないで下さい。
婚外恋愛に真実があるなら、日本では隠しながら大切に育てて下さい。
そうやって育てている友人が私にもいます。

婚外恋愛をすべて否定はしません。
ただし、公の場に出ることは間違いだと思います。

ここは日本です。

よろしくお願い致します。

論点は、
「どんな理由があっても、婚外恋愛は今の日本の倫理からは外れている」
「それでも婚外恋愛するなら、公の場に出ないで、隠して行え」

ということですね。

えーと。割と予想していた反論でしたので、
むしろ、ありがとう、と思っています。

では、この点について、あづまがどう考えているのか、
それについて、書いてみたいと思います。

まず、そもそも論として、

夫婦円満を目指すのは、もちろん、当然ではあるのですが、
努力しても、やっぱり、この人とはムリ、って思うこと、ありますよね。

男性の方は、分からない人もいるかもしれませんが、
女性の方は、「この人とはセックス無理」って思う感覚、
よく分かるんじゃないかな。

そこまで至ってしまった夫婦は、どうしたら良いのでしょう?

日本の倫理に照らしたら

これが、あづまの、一点目の疑問です。

一応、離婚理由としてセックスレスは、正当な理由とされています。
というわけで、そこまで至ったら、婚外恋愛する前に離婚しましょう。
というのが、今の日本の倫理であり、法律だと、私は解釈しているのですが。

これなら、倫理に反していないし、不法行為(犯罪とは言えないが、法律的に間違っているとされる行為)でもありません。でも、子供もいるわけだし、それで円満解決ヤッター、とは行かないはずです。

というわけで、往々にして、親は子供のために我慢して、結婚という形を維持せよ、という話になりがちです。本当にそれで良いのでしょうか? 私のもとには「お母さんが【子供のために】離婚しないで我慢していたために、私(相談者)は結婚生活に暗いイメージを持つようになってしまった」という相談が、それなりに多く来ます。親が自分を殺して生きることは、次世代にマイナスの遺産を受け継ぐ行為です。

現状の日本では、要するに【離婚する】【我慢する】の二択しか「倫理的な道」はない、のが社会常識であり、社会の道徳・倫理ですよね、本当にそれでいいんですか? と、私は問うているのです。

私は基本的に、倫理とか道徳というのは、(一定の意味・意義は認めますが)前の世代が作った遺物だと考えていまして、大抵の場合、倫理や道徳は時代遅れなもの、だと感じています。

だからといって、軽んじていいと言っているわけではありませんが、社会の「常識」とされているような倫理や道徳というのは、全然万能ではなく、むしろ、極めて限界の低い代物であると、見なしているわけです。

いま、同性愛の人を、倫理に反するとか、不道徳だとか、そういう言葉で責めたら、「言っているあなたがおかしい」と言われるでしょう。でも、それが社会の常識だった時代もあるのです。

倫理や道徳は、前の世代が作った社会の遺物。
一定の敬意や配慮は必要だけど、基本的に時代遅れだし、万能でもなく、極めて限界の低い代物である。

時代に、適合しなくなってきた倫理は、新しく作り直していくしかない。
それもまた、常識となった頃には、また、時代遅れになっていくのだと思いますが、
その繰り返し。ずっと、新しく作り続けていくしかない。

では、
「不倫は悪である」という倫理観が時代遅れだとしたら、
あづまは、新しい倫理観とは、どういうものであるべきだと考えるのか。

それを、書いていきたいと思います。

新しい倫理観が、
「不倫もOKだよね♪」
だったら、最悪です。私は大反対です、こういうの。

ここから先は、少し時代を先取りしすぎているというか、勇み足の部分はあると思いながら、書いています。

新しい倫理観とは、たとえばこういう基準であるべきです。
「自分の気持ち、そして、相手の望みに、とことん誠実に向き合ったか?」

では、用語が長くなりそうなので、
ふたつの倫理観にAとMという記号をふって、考えてみたいと思います。
Aは「不倫は悪」的な倫理観。これを守っているのがA○、破るのがA×。
Mは「自分、相手と向き合う」倫理観。同じく守るのがM○、破るのがM×。

A○ :婚外恋愛はしない
A× :婚外恋愛をしている
M○ :自分の気持ち、そして、相手の望みに、とことん誠実に向き合う
M× :自分の気持ち、そして、相手の望みに、誠実に向き合わない

A○ かつ M○ が問題ないのは、だれでも同意することだと思います。
A× かつ M× だと、問題多すぎ。ちょっとこの夫婦、大変そうです。

議論が分かれるのは、

A○ かつ M×  と  A× かつ M○ の場合でしょう。

少し、例を挙げてみたいと思います。

 

A○ かつ M×
:婚外恋愛はしないが
自分の気持ち、そして、相手の望みに、誠実に向き合わない

こういう夫婦、結構いるんじゃないでしょうかね。
たとえば、夫は自分の素直な気持ちを表現するのが全然下手くそ。
おかげで、主婦の奥さんが友達との集まりで出かけて「今日はごはん自分でよろしく」って言ったら、義務を放棄しているだとか、あれこれ難癖つけたりして。

こういうとき、ひとこと「寂しい」って言えれば自分も癒されるし、奥さんも「そうだよね、ごめんね♪」ってハグして、で、気持ちよく出かけられるのに。

もうひとつ例を挙げると、もう少し、相手の望みに向き合わないケース。
ちょっと、夫婦仲がだいぶ傾いていて、奥さんの方は、旦那との夜の生活が既に苦痛になっている。やんわりと何度も伝えたが、相手の望みに、誠実に向き合わない夫は、当然の権利とばかりに夜の生活を要求してくる。妻も「結婚という形を維持すること」が優先で、自分の気持ちと向き合うことをあきらめ、嫌々夫婦関係を続けている。

この両方とも、現状の日本の倫理には、(若干微妙だとは思うが)反していないことになります。
少なくとも、法律的には、生活の相互扶助の義務はあるが、相手を「愛する」義務は規定されていませんから、この夫たち、法律的には、まったくもって、正しい人たちなんですね。

私が「社会常識となっている倫理観は、実は時代遅れ」と言うのは、こういう話になってしまうからです。

 

で、一方、

A× かつ M○
:婚外恋愛はするが
自分の気持ち、そして、相手の望みに、とことん誠実に向き合う

そしてこれが、たまちゃんの夫婦の話。
夫公認で妻が婚外恋愛。それをあづまが円満夫婦と呼ぶ理由。

現状、やはり、法律的には「不法行為」にあたるわけです。
婚外恋愛している側が、夫婦破たんの理由を作ったと見なされます。

但し、自分の気持ち、相手の望みに誠実に向き合い続けていって、
やっぱりこういう形でいくしかないのかな、って結論を出せたとしたら、

Aの倫理観に基づくと×だけど、
Mの倫理観に基づくと○になる。

私は、要するに、
不倫したかしないか、というような、マニュアル的、チェックリスト的、ロボット的な判定基準に基づく倫理観は、いずれ時代遅れになっていって、

本当に自分の気持ち、相手の望みに、誠実に向き合い続けたかどうか、というような、極めて人間的で、深いレベルの倫理観に、時代が移行していくと考えているのです。

先ほどの、AとMの記号でまとめると、

 

現状、社会の常識というのは、

A○M× (不倫したかしないか、の倫理観を優先)

A×M○ (誠実に向き合ったか、の倫理観を優先)

であれば、前者の方が、確かに、常識だと思います。

ですが、社会が豊かになり、寿命も延び、夫婦生活も長丁場になり、という現在の社会状況の中、前者の倫理観は、限界を露呈しつつあり、時代遅れになってきている、

とも感じています。

そして、不倫は悪、という倫理観に変わるルールは、
不倫も善、ではないことは、先に述べたとおりです。
それではダメなのです。

前の時代の倫理観を、単に裏返すのでは進歩ではありません。
前の時代の倫理観を、超越していかないと、意味がない。

で、どのように超越するのかというと、たとえば、先ほどから書いている、

自分の気持ち、そして、相手の望みに、とことん誠実に向き合う
ことが善。

これです(あ、これは一案ですので、必ずこうでなくてはいけない、というものではないです。但し、表面的な判定基準よりも、もっと、内面や動機を問うものになるべきだ、という点は大事だと考えています)。

さて、私の持論を展開したところで、
二点目の「それでも婚外恋愛するなら、公の場に出ないで、隠して行え」
にお答えしましょう。

もし仮に、たまちゃんの姿勢、動機、行動が単に、
「不倫は悪」→「不倫は善」としたいだけだったとしたら、
私も、「そういう婚外恋愛は、隠して行ってください」と言うでしょう。

でも、たまちゃんの姿勢は、こういう批判を食らうことも覚悟の上で、
「不倫は悪」(Aの倫理観)から、
「向き合うことが善」(Mの倫理観)への、

パラダイムシフトを起こそうとしている行動なのです。
次の時代の、新しい倫理観に向けてのチャレンジです。

もちろん、とても大変すぎるので、
私は、自分の身で、社会実験するのはごめんです。
ほんと、あづまは、無理です。
(してないですが)もし不倫してても、たぶん隠します。

だれかが、身を削って、
新しい倫理観に向けてのチャレンジをする。

賛否両論を浴びながらも、前に進んでみる。

その価値は、私はよく分かります。
自分では大変すぎてできないとしても。

だから、たまちゃんを応援しているんです。

そういうことです!

ではでは!